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- 2.企業会計その(2)

目次
借対照表はB/Sと言われます。
Balance Sheetの略で、貸借対照表の構造をあらわした言葉です。
貸借対照表は一般的に右と左にわかれたような構造をしています。貸借対照表と題名があり、その下に平成○年×月△日と決算日が記載されています。
これは、平成○年×月△日の、その瞬間において、この会社にはどれだけの資産や負債、純資産(資本)がありましたということをあらわしています。
右側はお金の調達源泉を示しており、その調達したお金が外部から借りたものなのか、資本金などとして会社のお金を使ったのかを示します。
左側はそのお金がどのような形になったか、お金の使途や運用形態を示しています。左と右はバランスが取れており、同じ金額となります。
外部から借りたお金は他人資本、資本金などは自己資本といわれます。貸借対照表は、カネの出所と使い途が一つの表にまとまっているため、会社の財務状態がよくわかります。ある日時点の企業の財務状態を表したものです。
会社の体力を見るには、損益計算書ではなく、貸借対照表といわれています。
貸借対照表には「どれくらいお金が貯まっているのか」「どれくらい借り入れをしているのか」などが記されており、会社の財務の状態を知ることができます。
左側の資産の部にどんなことが書いてあるのか見てみましょう。資産の部は、大きく流動資産と固定資産に分けられます。
全体としてお金になる時間がかからないもの、つまり換金性が高いものから順に並んでいます。したがって一番上は現金そのものということになります。
流動資産には、その他に受取手形や売掛金、棚卸資産などがあります。
固定資産は土地などです。経理処理に出てくる前払保険料は流動資産、保険料積立金は固定資産に区分されます。
実際にはお金になる時間に違いは無いのですが、区分としては違いがあります。
資産は「取得価額」がベースになって計上されます。取得原価のことは簿価といいます。取得原価主義ですので、投下したおカネが、いくらかを表示しているだけで、今、売ったらいくらで売れるかという換価価値ではありません。
もしかしたら価値が上がっているかもしれないし、価値が下がっているかもしれません。それは貸借対照表には反映されないということです。
ただし、金融商品については、時価会計が導入されており、 原則時価評価となっています。
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続いて負債の部です。
負債はお金の調達源泉のひとつです。負債には大きく流動負債と固定負債があり、流動負債とは、1年以内に返済期限の到来する負債のことで、固定負債とは返済期限が1年を超える部分の負債のことをいいます。
流動負債の中でも、支払手形や買掛金などは、返済期限が至近です。これらの返済ができない不渡りは倒産に直結しますので、資金繰りにあたっては最も注意が必要な項目です。
右下は純資産の部といいます。
かつては資本の部といっていたように、資本金などの株主資本が記載されています。純資産は左側の会社の総資産から負債を差し引いた金額です。
自己資本という言葉がありますが、純資産と自己資本は同じ意味です。自己資本は返済の義務がありませんので、自己資本比率が高いほど、企業の財務的安全性が高く、経営が安定しているとみることができます。
損益計算書は、売上、費用、利益といったフロー(一定期間に流れた量)のデータの集まりです。
去年と今年の損益計算書を比較することはあっても、そこにある金額は、去年と今年は直接関係はありません。別のお金を売上げ、別の費用を使い、別の利益を出したというものです。
貸借対照表は、そのフローが長い年月にわたって作りだしたストック(ある時点で貯蔵されている量)のデータの集まりです。去年と今年の貸借対照表には連続性があります。
過去の蓄積があらわされています。よって、貸借対照表は、会社経営の結果を見抜き、将来の戦略と方策を見出す材料となります。
今日では会計ソフトに入力すれば試算表はできますが、本来はこのような順番で処理されます。取引が発生すると、それを仕訳します。
取引の内容により、「資産・負債・資本・費用・収益」のどの勘定科目を用いるかが決まります。
日々の取引は仕訳帳に日付順に記入されています。その仕訳帳の内容を、勘定科目ごとに転記するものが総勘定元帳です。
各勘定口座の合計や残高を一覧にしたものが、試算表です。
決算前のB/S、P/Lの意味合いがありますので、転記ミスなどがあれば一致すべき数値が合わないことがあり、正確性が検証されます。月次試算表といわれる書類があり、一定規模以上の会社であれば、毎月作成されるものです。
精算表にて、減価償却費の計上など仕訳帳にない決算整理仕訳による修正が行われ、最終的に損益計算書や貸借対照表などの財務諸表に分けられます。
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キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は、平成11年4月1日以降に開始する事業年度より導入されました。成11年4月1日以降に開始する事業年度より導入されました。
キャッシュフロー計算書は、経営分析によく用いられます。
営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローからなります。
得たお金から使ったお金を引いた残ったお金をあらわしていますが、どれも多ければ多いほどよいというものではありません。
営業キャッシュフローは、本業でどれだけキャッシュを増やしたかを表しますので、多ければ多いほどよいものです。投資キャッシュフローは、将来に向けて投資をするとマイナスになりますので、多ければいいというものではありません。
財務キャッシュフローは、借入れをすればプラスになりますが、これも多ければいいというものではありません。
営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローそれぞれについて
プラスマイナスがどうなっているかで、企業分析をおこなうことができます。
優良企業は本業が儲かっていますから、営業C/Fはプラス、投資C/Fは設備投資など将来への布石を打ちますのでマイナス、財務キャッシュフローは借入金返済や利益配当をおこないますので、マイナスとなります。経営は健全な状態です。
攻めの発展企業は、本業が儲かっていますから営業C/Fはプラス、投資C/Fは設備投資など将来への布石を打ちますのでマイナス、財務キャッシュフローは攻めのために借入れなどをおこないますので、プラスとなります。何のための借り入れなのかが重要です。
苦境脱出企業は、苦境を脱し本業で儲けることができるようになったので、営業C/Fはプラス、投資C/Fは資産を通り崩し苦境をしのいでいたのでプラス、財務C/Fは財務体質を改善し苦境脱出のため借入金返済などをおこなうため、マイナスとなります。
逆転期待企業は、本業で儲けることができなくなっているので営業C/Fはマイナス、将来の布石をうち投資C/Fはマイナスにしているものの、借入金でまかなっているので財務C/Fはプラスです。投資がうまくいって逆転できるでしょうか。
踏ん張りどころ企業は、本業で儲けることができなくなっているので営業C/Fはマイナス、投資C/Fは資産を通り崩し苦境をしのいでいるのでプラス、借入金を返済して財務体質を改善しているので財務C/Fはマイナスです。耐え忍んで、回復を待っています。
再出発企業は、たたんで再出発したほうがよい企業です。本業で儲けることができなくなっているので営業C/Fはマイナス、投資C/Fは資産を通り崩し苦境をしのいでいるのでプラス、さらに借入金でまかなっているので財務C/Fはプラスです。もはやお金を生み出すことはできなくなっています。
株主資本等変動計算書
Statements of Shareholders’ Equity
かつては利益処分計算書といわれていたものです。会社法施行(平成18年5月1日)により作成されるようになりました。
貸借対照表の純資産の変動状況を表す財務諸表。前期と当期の貸借対照表をつなぐバトンのようなものです。細かな話ですが、平成23年より標記変更(前期末残高⇒当期首残高)になっています。
ここで、素朴な疑問を持っていていただきたいのですが、前年の税引き後当期純利益はどこに行ってしまうのでしょうか?全部社長の懐へ?そんなわけないですよね。
決算後に利益処分として、株主に配当を行うか、役員賞与として役員に支払うか、利益剰余金として内部留保するかを株主総会で決議されます。
株主資本等変動計算書は、利益剰余金を貸借対照表に運ぶ役割をしているといえます。
このように、税金を払って当期純利益を増やさないと、自己資本は充実しませんので、会社の体力も付かないということになります。自己資本を運ぶ役割が株主資本等変動計算書です。
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