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7.赤字企業
- 2017/3/1
- Ⅲ.法人のライフサイクルごとの生命保険, 法人向け営業
- 赤字企業, 連帯保証債務

目次
赤字企業で気をつけなくてはならないのは連帯保証債務です。
赤字企業の生命保険の加入目的は、社長に万が一のことがあったときの借入金の返済資金の準備ですが、連帯保証債務の観点から考えると法人契約だけでは不十分なことがあり、個人契約の生命保険も重要になってきます。
会社の7割以上が赤字企業といわれていますが、実態はさまざまです。
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ただし、赤字企業といっても
①一過性の単年度のみの赤字
②構造的な恒常的な赤字
③意図的な少額の赤字があります。
どのタイプの赤字法人なのか見極めたうえで提案することが重要です。
①③は黒字企業と同じ提案になります。
②は赤字だからこそ保険が必要ともいえます。
赤字企業には無駄な保険料を支払っている余裕は無いはずです。
生命保険を見直しして少しでも無駄を省き負担を軽くしましょう。
連帯保証債務の話ですが、連帯保証債務の話は、社長にだけお話してもあまり響かないことが多いのです。
必ず奥さんに同席いただいて話さなければならないといいます。
というのが、会社が借入金を返済する前に連帯保証人である社長がお亡くなりになった場合、その連帯保証債務はなくなるわけではなく、法定相続分にしたがって分割されるということを知らないからです。
その怖さをほとんどの奥さまは知らないのです。
法人が金融機関から融資を受ける際には、社長が連帯保証人になっていることがほとんどではないでしょうか。
個人での借入れというと、住宅ローンが人生で一番高い買い物といわれるくらいですから、高くても数千万といったところではないでしょうか。
それが法人となると、数億円といった借入れも考えられます。
例えば法人で5億円の借り入れがあって、社長がその連帯保証人になっているとしましょう。
万一、社長がお亡くなりになった場合、その5億円の連帯保証債務は法定相続分にしたがって、分割されます。
会社が続いているうちはいいのですが、そのまま破綻してしまうと、ある日突然5億円の請求が奥さまにかけられるかもしれないということです。
例えば、実際に会社を引き継いだのは長男で、長女は嫁いでしまったし、次男は全然違う仕事についているというケースは良くあると思います。
その場合、連帯保証債務というのは、催告の抗弁権は無く、検索の抗弁権は無く、分別の利益はありませんから、長女のところに行って、5億円返してくださいということも可能なのです。
その際に、私は関係ないというのは通用しないのです。
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先にお母さんに請求してください(催告の抗弁権)とか、事業を継いだ長男はベンツに乗っていてお金があるからそっちから取ってください(検索の抗弁権)とか、5億じゃなくて法定相続分の8,333万円だけ払うというのも全部認められません。
社長と同じ責任があり、社長が亡くなった後に、連帯保証人をそのままにしておくと、ある日突然家族の誰かに絶対に払いきれない額の請求が来ることも有り得るということなのです。
あなたに連帯保証債務が付きましたなどということは、誰も教えてくれません。
それが嫌だとしたら、相続放棄しいかないのです。
自宅が相続財産の場合は自宅も相続放棄するということになります。
会社で連帯保証人になっている社長を被保険者として、受取人を会社にして生命保険に入っておけば、社長に万が一のことがあった際も、会社に保険金が入りますから、そのお金で金融機関に借入金を返済すれば、遺族に対する連帯保証債務は解消されます。
必要な保険金額は、借入金相当額の1.6倍が目安となります。
これは、生命保険金は利益となりますので、その分法人税等が増えてしまうからです。
借入金と同じ額の保険金を受けとった場合は、金融機関に借入金を返済してしまうと、後から法人税の支払いが発生して、経営を不安定にしてしまうかもしれません。
また、保険金は会社に入りますので、ちゃんと金融機関に返済してくれればいいのですが、後継者が親族以外の方の場合等には、保険金が他の用途に使われてしまい、連帯保証債務が遺族に残ってしまうというリスクがあります。
会社が債務超過状態に陥っているなど、会社が借入金の返済ができそうに無いときはどうすればよいのでしょう?
会社を立て直すか、破綻するまで待つしかないのでしょうか?
実は生命保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産であるのがポイントです。
連帯保証債務から逃れる方法はひとつだけあります。「相続放棄」です。
相続人は相続の際に、正の財産と負の財産も連帯保証債務も、すべて放棄するという権利があります。
3か月以内に家庭裁判所に申請することで、親から引き継いだ家などの財産は放棄して、すべて失ってしまいますが、とりあえず借金は残りません。
そのときに、相続財産に含まれず残されるものがあります。
それが生命保険金です。
生命保険金は受取人固有の財産とされていますので、相続放棄しても家を失っても、生命保険金のお金は関係ないんです。
手元に残すことができます。
実例
奥さま(娘の母)とは既に死別しています。
社長と中学生の娘さんの2人で暮らしていましたが、ある日社長にがんが見つかり手術を受けました。
がんは転移して進行していて何もせずにそのまま閉じ、余命は1か月と宣告されました。
会社の経営状態は悪く、債務超過状態で後継者はいません。
資産は借入金の担保になっている住んでいる家、生命保険は法人契約の定期保険3,000万円が2本です。
このまま社長が亡くなってしまったら、どうなるでしょうか。
会社は債務超過ですから、会社に保険金が入ったとしてもそのまま金融機関に抑えられて、住んでいる家まで取られてしまうかもしれません。
最終的には相続放棄するしかないのではないでしょうか。
娘さんには何にも残りません。
これをもし、社長が生きているうちに生命保険を法人から個人に譲渡したらどうなるでしょうか。
さらに社長がお亡くなりになった後に、娘さんが保険金を受けたった後に、相続放棄したらどうなるでしょうか。
家はなくなってしまいますが、6,000万円の資産を娘さんに残すことができます。
入っていたのは同じ法人契約3,000万円の定期保険2本ですが、生命保険金が相続放棄しても残すことができるということを、知っているのと知らないのとでは、お客さまの人生がまったく違うものになったということになります。
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