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- Ⅳ.企業会計と税務, 法人向け営業
- 1.企業会計その(1)

目次
- 1 法人契約を取り扱うためには社長と話をしなければなりません。
- 2 会社の経理を知ることは、まさに会社そのものを知ることになります。
- 3 損益計算書
- 4 商売するのにすべて現金。銀行口座も持たないというのは考えにくいですよね。
- 5 営業利益から営業外収益と営業外費用を、足したり引いたりして出るのが経常利益です。
- 6 損益計算書を一言でいいあらわすと、会社の成績表ということができます。
- 7 貸借対照表はB/Sと言われます。
- 8 会社の体力を見るには、損益計算書ではなく、貸借対照表といわれています。
- 9 流動資産には、その他に受取手形や売掛金、棚卸資産などがあります。
- 10 続いて負債の部です。
- 11 各勘定口座の合計や残高を一覧にしたものが、試算表です。
法人契約を取り扱うためには社長と話をしなければなりません。
また、税理士は法人案件の紹介元になったりします。社長や税理士は、日常的に財務諸表などを見て経営を考えている方です。
そのような方と、税務会計の知識がまったく無くて、ビジネスの話ができるでしょうか。反対にこれらの知識は、生命保険募集人として、他にはない武器となりえるものです。
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まず、企業会計についてです。
会社の経理を知ることは、まさに会社そのものを知ることになります。
財務諸表は見たことがありますか?
決算書と聞いてイメージはわきますでしょうか?
決算書を見たこともない方に決算書の説明をするのは至難の業ですので、イメージを見てください。
財務諸表のうち、この貸借対照表や損益計算書が最も重要なものです。
企業の利害関係者に対して明らかにするために財務諸表、決算書が作成されます。何を明らかにするのかというと、財務状態であり、経営成績であり、資金収支であり、資本状況です。
財務諸表は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の4つがあります。
もとは貸借対照表と損益計算書でしたが、キャッシュフロー計算書は平成11年4月1日以降に開始する事業年度より導入されました。株主資本等変動計算書は、会社法施行(平成18年5月1日)により作成されるようになりました。
損益計算書
P/Lといわれます。Profit and Loss Statementの略です。
損益計算書は一般的にこのように、損益計算書と題名があり、その下に、平成○年4月1日から平成×年3月31日までと期間が書いてあります。3月31日までとあれば、3月決算の会社だとわかります。
一番上に売上高があり、その下に色々な利益が並んでいます。売上高はまさに、この会社の大きさをあらわすもので、色々ありまして一番下が当期純利益。税金を払って最後にどれだけ残ったかになります。
その間に売上高総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益がありますので、それぞれの意味について見てみましょう。
仮にブティック青木という洋服屋さんを考えてみたいんです。このお店は洋服をどっかから仕入れてきて、それをお店に並べてお客様に販売しているような商売です。
売上高はまさに洋服を売って、お客様からいただいたお金の合計です。成長と収益力の源泉とありますように、損益計算書はここから始まります。
洋服はどこかから仕入れてきます。その洋服の仕入れにかかったお金が売上原価です。売上高から売上原価を引いたものが、売上総利益といいます。
よく粗利益(あらりえき)とか粗利という言葉を耳にしますが、粗利益とは売上総利益のことをいいます。
お店を出すには、その他にお店の家賃や従業員のお給料が必要となります。それが、販売費および一般管理費です。
売上総利益から販売費および一般管理費を引いたものが、営業利益です。このブティックの本業でいくら稼いだか実力をあらわす利益です。
商売するのにすべて現金。銀行口座も持たないというのは考えにくいですよね。
口座にお金を預けていれば、利息が付きます。
その本業とは関係ないところで発生した利益を営業外収益といいます。営業外りえきではなく、営業外しゅうえきです。
実はブティック青木は自社ビルで商売をしていて、店舗以外の部分は人に貸しているという場合には、家賃収入があります。その家賃なども営業外収益となります。
逆に営業外費用は、商売を始めるにあたって銀行から借入れをおこないました。毎月利息を払っていますという場合、その利息が営業外費用となります。
営業利益から営業外収益と営業外費用を、足したり引いたりして出るのが経常利益です。
けいつねともいいまして、日本では重視される利益です。
ここから特別利益。例えば、会社で所有していた土地が値上がりしていて、売却したら利益が出たというような臨時的な利益。
逆に値下がりしていて損が出たというような特別損失。これらを足し引きして税引前当期純利益が導き出されます。
ここから法人税や法人住民税、法人事業税を支払った残りが、当期純利益、最終利益ということになります。なんとなく、損益計算書のイメージがわいてきましたでしょうか?
損益計算書を一言でいいあらわすと、会社の成績表ということができます。
学校の通知表と同じように、一定期間の経営成績をあらわしています。どれだけ儲かったのか、どのようにして儲けたか、儲けを数字でまとめたものです。
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それぞれの利益を詳細に見てみましょう。
第1の利益は売上総利益です。
いわゆる粗利といわれるものです。売上から、モノやサービスを生み出すためにかかった直接的な費用、売上原価を引いた残りの利益のことをいいます。
売上原価は、先ほどのブティックの例であれば、洋服といった商品の購入代になりますし、工場のような製造業であれば、製品を作り出す荷にかかった製造コストといったものになります。
第2の利益は営業利益になります。
本業で稼いだ利益でして、先ほどの売上総利益から販売費及び一般管理費(いわゆる、はんかんひ)を引いた残りの利益のことを言います。
販管費は、営業活動に要した費用のうち売上原価に算入されない額。販売手数料や管理部門の人件費物流費用などのことですが、損金算入できる生命保険の保険料もここに区分されます。営業利益は、会社本来のビジネスが生み出した儲けといえるものです。
第3の利益は経常利益です。
毎期繰り返す事業活動の結果の利益です。損益計算書で一番注目される利益です。営業外収益として代表的なものは利息収入です。保険の解約払戻金などは雑収入となることがありますが、雑収入はこの営業外収益に区分されます。
営業外費用は、借入金の支払利息などです。これらを差し引きしたものが経常利益で、会社の実力を表す利益とされています。
会社の実力を表す利益とされているのは、例えば銀行から多額の借入れをして大きな営業利益を上げた会社があったとします。借入れが多いと、支払利息も多くなりますから、経常利益は少なくなります。
つまり、同じ営業利益を上げていても、会社の実力によって経常利益が変わってくるということです。
第4の利益は税引前当期純利益です。
特別利益として代表的なものは、本業以外で土地や建物を売った儲けなどになりますが、役員死亡保険金なども臨時的例外的なものといえますので、特別利益として処理されることがあります。(雑収入で処理する場合もあります。)
特別損失には、災害による損失やリストラ費用、不良資産の処分などがあります。役員死亡退職金も臨時的例外的なものですので、特別損失として処理されます。税引前当期純利益とは、税金を差し引く前の儲けのことです。
第5の利益は当期純利益です。
税引前当期純利益から法人税などの税金の支払いに充てる金額を引いたものです。
損益計算書は1年間の企業活動による利益が、どのようなプロセスで獲得できたかを表現したものです。
5つの利益により、儲けのもとを探れるのが損益計算書です。
貸借対照表はB/Sと言われます。
Balance Sheetの略で、貸借対照表の構造をあらわした言葉です。
貸借対照表は一般的に右と左にわかれたような構造をしています。貸借対照表と題名があり、その下に平成○年×月△日と決算日が記載されています。
これは、平成○年×月△日の、その瞬間において、この会社にはどれだけの資産や負債、純資産(資本)がありましたということをあらわしています。
右側はお金の調達源泉を示しており、その調達したお金が外部から借りたものなのか、資本金などとして会社のお金を使ったのかを示します。
左側はそのお金がどのような形になったか、お金の使途や運用形態を示しています。左と右はバランスが取れており、同じ金額となります。
外部から借りたお金は他人資本、資本金などは自己資本といわれます。貸借対照表は、カネの出所と使い途が一つの表にまとまっているため、会社の財務状態がよくわかります。ある日時点の企業の財務状態を表したものです。
会社の体力を見るには、損益計算書ではなく、貸借対照表といわれています。
貸借対照表には「どれくらいお金が貯まっているのか」「どれくらい借り入れをしているのか」などが記されており、会社の財務の状態を知ることができます。
左側の資産の部にどんなことが書いてあるのか見てみましょう。資産の部は、大きく流動資産と固定資産に分けられます。
全体としてお金になる時間がかからないもの、つまり換金性が高いものから順に並んでいます。したがって一番上は現金そのものということになります。
流動資産には、その他に受取手形や売掛金、棚卸資産などがあります。
固定資産は土地などです。経理処理に出てくる前払保険料は流動資産、保険料積立金は固定資産に区分されます。
実際にはお金になる時間に違いは無いのですが、区分としては違いがあります。
資産は「取得価額」がベースになって計上されます。取得原価のことは簿価といいます。取得原価主義ですので、投下したおカネが、いくらかを表示しているだけで、今、売ったらいくらで売れるかという換価価値ではありません。
もしかしたら価値が上がっているかもしれないし、価値が下がっているかもしれません。それは貸借対照表には反映されないということです。ただし、金融商品については、時価会計が導入されており、 原則時価評価となっています。
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続いて負債の部です。
負債はお金の調達源泉のひとつです。負債には大きく流動負債と固定負債があり、流動負債とは、1年以内に返済期限の到来する負債のことで、固定負債とは返済期限が1年を超える部分の負債のことをいいます。
流動負債の中でも、支払手形や買掛金などは、返済期限が至近です。これらの返済ができない不渡りは倒産に直結しますので、資金繰りにあたっては最も注意が必要な項目です。
右下は純資産の部といいます。かつては資本の部といっていたように、資本金などの株主資本が記載されています。純資産は左側の会社の総資産から負債を差し引いた金額です。
自己資本という言葉がありますが、純資産と自己資本は同じ意味です。自己資本は返済の義務がありませんので、自己資本比率が高いほど、企業の財務的安全性が高く、経営が安定しているとみることができます。
損益計算書は、売上、費用、利益といったフロー(一定期間に流れた量)のデータの集まりです。
去年と今年の損益計算書を比較することはあっても、そこにある金額は、去年と今年は直接関係はありません。別のお金を売上げ、別の費用を使い、別の利益を出したというものです。
貸借対照表は、そのフローが長い年月にわたって作りだしたストック(ある時点で貯蔵されている量)のデータの集まりです。
去年と今年の貸借対照表には連続性があります。過去の蓄積があらわされています。よって、貸借対照表は、会社経営の結果を見抜き、将来の戦略と方策を見出す材料となります。
今日では会計ソフトに入力すれば試算表はできますが、本来はこのような順番で処理されます。取引が発生すると、それを仕訳します。
取引の内容により、「資産・負債・資本・費用・収益」のどの勘定科目を用いるかが決まります。日々の取引は仕訳帳に日付順に記入されています。その仕訳帳の内容を、勘定科目ごとに転記するものが総勘定元帳です。
各勘定口座の合計や残高を一覧にしたものが、試算表です。
決算前のB/S、P/Lの意味合いがありますので、転記ミスなどがあれば一致すべき数値が合わないことがあり、正確性が検証されます。月次試算表といわれる書類があり、一定規模以上の会社であれば、毎月作成されるものです。
精算表にて、減価償却費の計上など仕訳帳にない決算整理仕訳による修正が行われ、最終的に損益計算書や貸借対照表などの財務諸表に分けられます。
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