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4.安定成熟期

安定成熟期とは成長期を経て、多少の経営上のリスクがあっても、会社の体力で事業が継続できるような時期です。目の前のことだけでなく、将来のリスクに対して手を打つことができる時期でもあります。

安定成熟期の法人の生命保険の加入目的は、事業資金や死亡退職金に加え、将来のリスク対策として「役員退職金」の準備が上げられます。

会社が安定成熟期を迎えるまで、人生をかけて会社に貢献した社長・役員の勇退ですので、会社として支払ってあげたいとの思いはあるのではないでしょうか。しかも、社長・役員の勇退後の生活資金として退職金は重要なものです。

しかし、役員退職金は相当な金額(数千万~数億円)となり、そのお金を借入れ等でまかなうとすると、資金繰りなどに影響しかねません。つまり、退職金は受け取りたい(支払ってあげたい)一方で会社にとっては資金面で将来のリスクになりかねないものです。

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社長・役員にとって退職金で受取るメリットは、

①分離課税であること。 退職金の課税は、毎年の役員報酬と分けるので税率のランクが超過累進課税の一番低いところから適用されますので、税率が低くなります。

②退職所得控除があること。 勤続年数に応じ一定額を控除することができますので、税金をかける対象が少なくなります。

③2分の1課税があること。退職金から退職所得控除を引いた後の金額を1/2にして税率をかけますので、税金をかける対象はさらに少なくなります。ただし、勤続5年以内の役員には適用されません。

④退職所得には社会保険料の徴収がありません。役員報酬と違い、健康保険料や厚生年金保険料等の徴収はありませんので、受取額は多くなります。

日本の所得税が累進課税であることは、皆さんよくご存知ですが、実は超過累進課税というのが正しい名称になります。これは、一定の異なる金額ごとに異なる税率を定めることで、所得が高い人であっても低い部分には低い税率が適用されるため、所得金額による税額の逆転は起こらないようになっています。

また、所得が1,800万円を超えると、その超えた部分については税率は50%です。なので、所得を積み上げて総合課税されるよりも、他の所得と合算せず、分離課税されたほうが、税金は少なくて済みます。

退職所得控除額の計算は、勤続20年以下は1年で40万円、20年超は1年で70万円と決められています。

所得4,000万円(年収4,000万円ではなく、各種控除後の所得が4,000万円)の社長が、さらに4,000万円を給与の上乗せで受取る場合と、退職金として受取る場合の手取り額の比較です。

役員報酬で受取る場合には総合課税になります。すでにいつも受取っている給与の部分で所得1,800万円を超えていますので、上乗せ部分については税率は50%となり、手取額は2,000万円です。

それに対し、退職金の場合は分離課税ですので、スタートの税率のランクが一番下から始まり、退職所得控除を1,500万円引いて、2,500万円。さらに1/2課税で1,250万円に対して所得税住民税がかかります。これを計算すると384万円(1,250万円×43%-1,536,000円=3,839,000円)同じ4,000万円を受取っても、手取は給与は2,000万円で退職金は3,616万円という違いが出てきます。

会社から社長個人に対して資産を移転するにあたり、効率的に税金をかけずに資産移転をする方法は、どれでしょうか?

同じ利益1億円からスタートした場合、役員賞与は、損金算入することができませんので、利益1億円に対し3,600万円の法人税を払い、残った6,400万円を最高税率の社長に渡すと所得税住民税で50%課税され、残り3,200万円が資産移転できました。

役員報酬は損金算入することができますが、最高税率の社長の場合、所得税住民税で50%課税され、残り5,000万円を資産移転できました。

退職金は損金算入することができ、最高税率の社長であっても、分離課税ですから税率は最低ランクからとなり、さらに退職所得控除の1/2課税ですから、、8,155万円を資産移転することができます。同じ1億円の利益ですが、最も効率が高い資産移転を考えると、退職金となるのではないでしょうか。

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安定成熟期の社長に対する問いかけとしては、

経営者がご勇退のとき、退職金の準備はされていますか?
役員退職金規程はございますか?
役員退職金の適正額はご存知ですか?

といったものになるのではないでしょうか。

情報収集としては、

①役員の定年年齢
②役員の生年月日
③役員就任年齢
④役員報酬

といったものが必要となります。

役員退職金算出方法はいくつかありますが、代表的なものとして最終報酬月額を基礎とする方式があります。最終報酬月額に役員在任年数を掛け、さらに功績倍率を掛けるというものです。

役員退職金の資金準備には時間がかかります。第二の人生をゆとりあるものにするための資金を準備しておきませんか?すぐに準備できるものではありませんので、安定している今こそ取り組むべき課題ではないでしょうか。

安定成熟期の法人に対するご提案としては、98歳定期保険などの長期平準定期保険による大型死亡保障がよいのではないでしょうか。長期平準定期保険は、保険料の1/2を損金算入しながら、解約払戻金を活用し、役員退職金の準備をすることができます。

事業保障や死亡退職金・弔慰金のための資金も、成長期より引き続き必要となります。長期平準定期保険は、事業承継期の法人に対する納税資金・自社株買取資金の準備のための保険としてのご提案にもなります。

ご提案にあたっては、役員退職金規程があるかどうかを確認しなければなりません。無い場合は作っていただいたほうがよいでしょう。なぜなら、過大な役員退職金は損金算入が認められないからです。

役員会で承認されたことを記録し、保管した役員会議事録をもとに作成された役員退職金規程により、退職金が明確な支給基準にしたがって公正に支給されたという根拠となります。

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