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- Ⅲ.法人のライフサイクルごとの生命保険, 法人向け営業
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5.事業承継期
- 2017/3/1
- Ⅲ.法人のライフサイクルごとの生命保険, 法人向け営業
- 事業承継期

目次
- 1 企業の事業承継について現状をみると、社長の平均年齢は58.9歳と年々上昇し、60歳に近づいてきています。
- 2 事業承継期とは、経営者が60歳以上となり、会社を後継者にスムースにバトンタッチするための準備期間です。
- 3 事業承継期の法人の生命保険の加入目的としては
- 4 こうならないためには、どうすればよかったのでしょうか?
- 5 自己株式を相続時に活用すれば、税制上優遇されます。
- 6 株式を譲渡制限株式としていた場合でも、相続や合併等の場合、移転は制限できません。
- 7 後継者に確実に自社株を集中させるには、何も社長が亡くなって相続する必要はなく、自社株を生前に後継者に贈与する方法があります。
- 8 事業承継で大切なことは、後継者に自社株を集中して移転させることです。
- 9 事業が継続すれば、自社株はいつのまにか評価額が高くなっているものです。
企業の事業承継について現状をみると、社長の平均年齢は58.9歳と年々上昇し、60歳に近づいてきています。
一方で、経営者の勇退年齢は60歳から69歳をあわせると50%を超え、多くの社長が事業承継を真剣に考える時期になっています。
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しかし、事業承継対策を考えるために欠かせない自社株の評価額について、51.3%が計算したことがないと回答しており、準備ができている企業ばかりでは無いのです。
また、社長交代率も3.67%にとどまるなど、事業承継が順調に進んでいるとは言いがたい状況です。
そのような中、休廃業・解散件数は2万8943軒と過去10年で最多を記録しました。
増加の一途をたどっています。その要因として、後継者難などで事業を断念する企業が増えていることなどが挙げられます。
事業承継期とは、経営者が60歳以上となり、会社を後継者にスムースにバトンタッチするための準備期間です。
事業承継対策は主に
①後継者対策(後継者の決定と育成)
②自社株対策(自社株の評価と後継者への集中)
③相続対策(分割と納税)があります。
すぐにできるものではなく、5年以上の時間をかけて対策をおこなう必要があります。
事業承継期の法人の生命保険の加入目的としては
②に関連する金庫株買取と
③に関連する分割対策と、納税資金対策が挙げられます。
後継者Aは先代社長が亡くなった際に、自社株と事業用の土地と建物、および少々の現金を相続しました。
自社株は思いのほか評価額が高く、多額の相続税を支払わなければならないことがわかりました。
自社株の評価額は、その会社の価値を表すものになります。
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長年継続してきた会社でしたら、自己資本も充実しているでしょうし、優良な資産もあるなど、自社株の評価額は高くなることがよくあります。
結果として多額の相続税を支払わなければならないことがわかりましたが、相続財産には少額の現金しかありませんでしたので、納税資金がありません。
相続財産の中から納税資金を準備しようにも、相続財産は換金性が低く分割も難しいものばかりです。
納税資金の準備のために、もしも自社株や事業用の土地や建物を一部売却してしまうと、経営が不安定になるリスクがあります。
こうならないためには、どうすればよかったのでしょうか?
会社が自社株を買取れば、後継者Aは他に経営権を渡すことなく納税資金を確保することができます。
この会社が買い取った自社株を金庫株といいます。
平成18年5月1日に施行された会社法により、自己株式(金庫株)の取得が「いつでも、何度でも、誰からでも」できるようになりました。
ちょうど有限会社がなくなったタイミングです。
しかし、会社にお金がなければどうしようもありません。
会社に常に現金を用意しておくことは現実的ではありません。どうすればよかったのでしょうか。
自己株式を相続時に活用すれば、税制上優遇されます。
売却した株主の税金計算において、通常は「みなし配当課税」となり最高50%の税率がかかる可能性がありますが、それが相続で取得した(非上場)株式を相続税の申告期限後3年以内に発行会社に譲渡した場合は「譲渡所得課税」となり税率は20%で済みます。
実際には、財源規制(分配可能額の範囲内)、買取価格(法人税法上の時価への配慮)も考慮に入れなければなりません。
会社の後継者はAですが、主な相続財産が自社株で、他に分けることができる財産がない場合は、事業に関与しない他の相続人が自社株を相続することがあります。
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株主の権利は強力ですので、株式の分散は、経営が不安定になるリスクがあります。
事業に関与してこなかった姉Bと弟Cですが、BとCが結託すれば、会社を乗っ取ってしまうこともできるかもしれません。
どうすればよかったのでしょうか。
株式を譲渡制限株式としていた場合でも、相続や合併等の場合、移転は制限できません。
しかし、会社法では定款に定めることにより、会社にとって不都合な相続人等が株式を取得た場合、相続株式の売渡し請求をすることができます。
その際、会社に保険金などで財源があれば、会社は姉Bと弟Cに自社株の売渡請求をして自社株を買い取ることで、自社株を分散させずに済みます。
なお、売買価格は協議で、買取財源の規制もあります。
そもそも後継者Aに資金力さえあれば個人として自社株を買い取ることができるわけです。
そこで、社長勇退後に、金庫株によらず後継者が直接自社株の買取をおこなえる資金を残せるよう、社長を被保険者、後継者を受取人とする生命保険に加入します。
後継者は社長がお亡くなりになった際の保険金を元に、自社株の買取りをおこない、経営権を集中させることができます。
勇退後ですので、会社で保険に加入することはできませんので、ご勇退時に、会社名義の生命保険の契約者を社長または後継者に名義変更して、ご継続いただく方法があります。
加入形態により、誰が保険料をしはらうのか、受け取り保険金の課税関係が異なりますので、負担が少ない契約形態をお選びいただくことができます。
後継者に確実に自社株を集中させるには、何も社長が亡くなって相続する必要はなく、自社株を生前に後継者に贈与する方法があります。
贈与は相続税に比べ税率が高い、贈与税のため敬遠されることがあります。
確かに、贈与税は超過累進課税制度ですから一度に贈与してしまうと、税額が多くなってしまいます。
しかし、毎年基礎控除を使えますので、時間をかけて贈与すれば効率的に移転させることができます。
例えば、1,000株を100株づつ70歳から80歳まで贈与すれば、10年で自社株の承継は完了します。
もし途中で社長が亡くなったときは自社株は法定相続されますが、生命保険に入っていれば、買取資金を準備することができます。
事業承継で大切なことは、後継者に自社株を集中して移転させることです。
十分な対策がされずに相続が発生するとどうなるでしょうか?
社長が自社株のほとんどを保有している場合、自社株以外に目ぼしい相続財産がない場合は、後継者に自社株のすべてを相続させると、他に兄弟がいる場合などは分割財産の不公平感が残り、遺留分減殺請求がおこされることがあります。
遺留分とは、残された遺族(兄弟姉妹以外の相続人)が最低限の相続をすることができる権利です。
他に財産が無い場合には、結局自社株を分散させるしかないかもしれません。
複数の親族が自社株を所有しているなど、がもともと自社株が分散している場合は、少数株主の権利は強力ですので、少数株主が権利を主張することで経営がやりにくくなり、業務に支障をきたす可能性があります。
そういう意味でも、あらかじめ後継者に自社株を集中して移転させることへの対策は重要です。
事業が継続すれば、自社株はいつのまにか評価額が高くなっているものです。
自社株の評価は事業承継対策のスタートラインですが、統計にもあるとおり、自社株の評価額を計算したことがある経営者は、半分以下にとどまります。
事業をしているといつの間にか自社株の評価が高くなっているというのは、法人が利益を出し税金を払うと、純資産の部に剰余金が貯まることによります。
昔は毎年何百万も利益を出していたけど、最近は黒字にするのも難しい、そんな企業であっても過去の蓄積がありますから、今は利益を出せない会社であっても、自社株の評価額が高いということがあるのです。
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