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- Ⅵ.相続対策の実例, 相続・生前贈与
- 2.相続と相続税の概要

目次
1.相続の権利相続
(1) 相続の効果
基本的に相続は、財産だけはなく負債も相続しなければなりません。特に会社経営者は負債を抱えているケースがあります。
相続人は、会社の負債も相続しないといけません。連帯保証人としての地位等も相続する義務があります。
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■ 被相続人に多額の負債が確認できる場合
■ かなりの負債があると見込まれそうな場合
相続人はそのままで行くと、被相続人の遺した莫大な負債を引き継がなければならないことになってしまいます。
(2) 相続人の選択
原則としては、相続はすべての財産・負債を相続しなければなりませんが、相続は3つの選択肢から選ぶことが可能です。
選択肢 | 特徴 | 留意点 |
単純承認 | 相続の効果が、無条件かつ無制限に相続人に帰属します。 | 選択前の相続財産の全部または一部の処分や熟慮期間(3か月)を経過した場合には、単純承認したものとみなされます。 |
限定承認 | 相続する財産の範囲内で債務を弁済する相続の方法です。 | 財産目録を作り、3か月以内に相続人全員で家庭裁判所に対して限定承認をする旨の「申述」をしなければなりません。 |
相続放棄 | 相続財産についてはプラス財産もマイナス財産もその一切を引き継ぎません。 | 3か月以内に家庭裁判所に対して、相続放棄する旨の「申述」をしなければなりませんが、相続人単独で行うことが可能です。 |
相続から3か月を過ぎると原則として逃げ道はなくなります。財産より負債を多く抱えている会社経営者の相続が発生した場合は、相続放棄をすることにより、財産は相続できませんが負債も相続しなくていいのです。
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しかし、相続放棄は相続から3か月以内に家庭裁判所にいって所定の手続きをする必要があります。ただし、相続放棄をしても死亡保険金は「受取人の固有財産」のため、受け取ることが可能です。
※ 現預金や不動産は相続財産のため相続放棄した場合は受け取れません。
相続は相続財産を調べるのも時間と手間がかかるといわれています。多くの人は、親族のすべての財産を把握しているケースは多くはありません。
ここでは、実際に相続が発生したときの財産確認方法をおさらいしていきます。まず不動産の確認方法は、①確認すべき事項に記載ある中でも、特に「固定資産税納付通知書」が有効といわれています。
不動産がある場合は、だいたい5月~6月に市役所から固定資産税納付通知書が届きますので、不動産の確認ができます。
2.意外に苦しむ相続実務
(1)不動産の確認と評価額
不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)、固定資産税納付通知書などから、被相続人名義の不動産の存在ならびに乙区欄から債務の存在を確認していきます。
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■ 未登記の家屋であっても固定資産税の評価を受けているのであれば、被相続人名義の財産ということになり得ますので、固定資産税納付通知書などで名義人を確認します。
■ 固定資産税納付通知書は定期的に送られてくるものですので、被相続人宛の郵便物も極めて重要な確認作業の対象となります。
(2)預貯金の確認
次に預貯金の確認です。預貯金の確認は、不動産のような固定資産税納付通知書などの通知書が届きませんので、記載されているPoint部分を踏まえて確認する必要があります。
特に都市部であれば徒歩30分圏内、地方であれば車で30分圏内の金融機関に確認するといいといわれています。
被相続人が転勤族だった場合は、転勤先にてお付き合いで口座開設しているケースもあるので各転勤先の最寄金融機関も確認すると漏れがないといわれています。
■ 預貯金の存在自体が不明である場合には、被相続人の取引銀行の支店など、被相続人の生活圏内の銀行へ照会を行います(その際身分を明らかにするための戸籍謄本等を事前に準備しておくとスムーズに作業が進みます)。
■ 被相続人の生活圏の銀行への照会は、生前から死亡の時までのお住まいだった場所すべてを確認します。
不動産や預貯金などは相続人が「どこに・どんな」財産があるか知らないケースだと、財産確認で苦労するケースがあります。
そのため、財産目録を作成しておくだけでも相続手続きがスムーズに行えるといわれています。
家族名義の預貯金であっても課税当局から実質的な所有者が「被相続人」である、と判断された場合には、相続税の課税対象になりますので、名義だけ変えておけば安心というわけではありません。
3.相続税の概要
相続税は、原則としてお亡くなりになった方が所有していた財産が、基礎控除を
超える場合に課税される税金です。
相続が注目されているのは、平成27年1月1日から相続税の基礎控除額が変更になったためです。
この基礎控除額が変更になったことにより、相続税を支払う金額と相続税を支払う人が増えます。
相続税の基礎控除額
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
実際の相続税課税割合をみていきましょう。死亡者数は、単純にその年に亡くなった方の数です。
4.相続税課税割合
直近の平成26年では、56,239人が課税対象でした。
平成27年のデータが判明していませんが、基礎控除額の引き下げによる課税対象者が7万人を
こえるともいわれています。
次に相続税の計算についてですが、「5.相続税の計算の仕組み《イメージ》」で説明します。
相続税の計算は簡単にいうと、3つのステップで計算をしていきます。
①財産の集計
②3つの控除(額)の確認
③相続税の課税対象を計算(①-②の差額)
そのため、相続税負担を減らしたいと考えるポイントは大きく2つあります。
1つめは、控除額を上手に増やすことです。
2つめは、財産を上手に減らすことです。
この2つのポイントを活用することにより相続税負担を減らすことができます。
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