
日本生命保険の業容が、長らく首位だったかんぽ生命保険を追い抜きつつある。
2018年3月期決算では個人向け保険の保有契約数で逆転した。
19年3月期には連結総資産でもかんぽを抜き国内首位になる公算が大きい。
大手生保は国内外での買収などで規模を拡大し、グローバルでの存在感も高まる。その半面、経営のかじ取りはより難しくなっている。
18年3月期の個人向け保険(年金を含む)の保有契約件数は、日生が前の期比4%増の3264万件。
かんぽは4%減の3040万件で逆転した。
日生は買収した三井生命保険との商品相互供給を進めて契約を増やしたのに対し、かんぽは過去の契約終了分を新規の契約で補えなかった。
連結総資産も逆転しそうだ。
18年3月期はかんぽが4%減の76兆8312億円、日生は3%増の74兆3925億円と約2.4兆円差だった。
日生は5月、マスミューチュアル生命保険(ニッセイ・ウェルス生命保険に社名変更予定)の買収を完了。
19年3月期決算にはこのニッセイ・ウェルス生命分の約2.7兆円が加算されるため、かんぽを抜いて首位になる可能性が濃厚だ。
近年、日本の大手生保はグローバルで見ても存在感を示している。
QUICK・ファクトセットなどによると12年度に17位だった第一生命ホールディングスも、米プロテクティブの買収などにより17年度は13位に浮上。
19位の明治安田生命保険を含めると上位20社の4社を日本勢が占める。
もっとも、生保はこれまでメガバンクや大手損害保険会社に比べ、国内外での大規模な買収に慎重だった。
大胆な戦略転換の背景には、少子高齢化で国内の生保市場が将来的に縮小することへの危機感がある。
買収先へのガバナンスなど、生保各社の経営の巧拙がこれまで以上に問われる。
(日本経済新聞 2018/06/07)