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かんぽ生命が4月に保険料を値上げしたものの、新規客の獲得で予想外に健闘している。
関係者は、4月以降の新規保険加入者の落ち込みが事前予想より小さいことに驚いている。
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日銀のマイナス金利政策もあり、逆風にさらされているはずなのになぜか。
今回の値上げは昨年8月に続き2回目。
前回は非公表だが、「まるでジェットコースターのような下落」(かんぽ生命)。
それに比べれば今春の影響は限定的だったという。
同じ轍(てつ)を踏むまい。
かんぽ幹部が編み出したのが、販売を委託している郵便局員を巻き込んだ営業支援策だ。
ノウハウを詰め込んだDVDの内容は大きく分けて2つ。
敏腕営業マンの営業スキル集をつくり、共有するスタイルだ。
「顧客に一方的に話をさせる」
成績の高い局員6人の手法を紹介し、自分に合ったスタイルを取り入れてもらう。
もうひとつが、保険の真髄ともいえる「保障の大事さ」を訴える営業スタイルへ転換したことだ。
実は郵便局は「『貯蓄話法』に頼りすぎた」。
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長らく主力商品の養老保険は満期に死亡保険金が戻り、保険の中でも貯金に近い存在だ。
郵便局員も保険を販売しているというより貯金を勧める意識が染みついていた。
だが、マイナス金利政策で環境は一変した。
予定利率が低下し、営業文句は全く効かない。
入院保険金など医療特約を付けることを前面に打ち出すよう改めた。
医療費上昇と少子高齢化。地方を襲う将来不安の中、顧客の心に刺さった。
今回のてこ入れ策は「値上げでは売れない」という従来型の発想も、実は思い込みだった可能性があることを示した。
ピンチをチャンスに。
逆風下こそ、ライバルをしのぎ、顧客の心をつかむ好機ともいえる。
(日本経済新聞 2017/04/28)
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