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大手生命保険会社が、他社商品も含めて複数の保険を取り扱う「販売代理店」に相次ぎ出資している。
若い世代や企業の経営者など、職場訪問が中心の営業職員では手が届きにくい顧客を獲得するためだ。
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代理店側も大手の資金を活用すれば、事業を広げやすくなる。
保険販売に占める代理店扱いの比率は高まっており、大手生保は有力な販売チャネルの取り込みを進めている。
第一生命保険は月内にも、訪問型で中堅の販売代理店を傘下に持つホロスホールディングス(HD、京都市)に2億円を出資する。
出資比率は10%弱とする。
第一生命によるとホロスHDは今後の成長に向け、店舗の新設や他の販売代理店の買収を検討している。
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ホロスHD傘下の代理店が獲得する新契約のうち、第一生命グループ3社の商品は1割程度。
ホロスHDが伸びれば契約の獲得増が見込めるため、出資をする。
大手が手掛ける生命保険の加入ルートは営業職員が主力だ。
だが、オフィスのセキュリティーが強まり、営業職員は顧客との接点を持ちにくくなっている。
ホロスHDの代理店は富裕層を顧客に持つため、第一生命は販路を広げられるとみた。
「保険ショップ」と呼ばれる顧客が来店する形の代理店も含め、大手が代理店を傘下に収める事例は増えている。
保険の加入が飽和している面もあるため、多くの代理店と結びつきを強め、他社の商品からの乗換えを進める狙いがある。
最大手の日本生命保険は2015年に買収したライフサロン(東京・中央区)に続き、今年4月にほけんの110番(福岡県粕屋町)を買収した。
「ほけん百花」という保険ショップを展開してきた住友生命保険も、7月に保険デザイン(大阪市)を買収している。
明治安田生命保険は直営の保険ショップを15店舗展開する。
保険代理店は異なる生命保険会社の商品を取り扱うことで、生保の営業職員よりも多くの商品を提案できることを強みとしてきた。
一方で16年5月に施行された改正保険業法で顧客の意向を正確に把握し、顧客情報を適切に扱うことを義務付けられている。
経営体制を整えていく必要がある。
複数の生命保険会社の商品を取り扱う「乗り合い代理店」の解禁は1996年で、約20年がたった。
当時、代理店を立ち上げた40代前後の経営者たちは高齢になってきている。
大手生保は後継者がいない代理店などが他者との連携に前向きと見ており、連携を呼びかける事例は続きそうだ。
(日本経済新聞 2017/08/18)
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