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銀行窓口での保険商品販売が全面解禁され、22日で10年を迎える。
取り扱う商品の幅は広がってきたが、新規の保険販売全体に占める割合は約1割。
全面解禁以降、投信販売は銀行窓販シェアが5割にのぼる。
既存の営業職員による販売とすみ分けつつ窓販をどう拡大するかが課題だ。
「外貨建て商品は利回りがよく、円資産がほとんどでしたら資産分配にもなるかと」。
第一生命ホールディングス(HD)傘下で窓販を手掛ける第一フロンティア生命保険は、金融機関の行員と2人一組になって進める販売のシミュレーション研修に力を入れる。
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商品提案や相場見通しなど、様々な材料を使いながらわかりやすく説明する技術を磨く。
「保障内容や相続・贈与など、多様な提案が求められるようになっている」。第一フロンティア生命の川島貴志社長はいう。
こうした研修にあらためて力を入れるのは、近年、外貨建ての終身保険が販売の大半を占め、商品が多様になってきているうえ、金融庁が顧客本位の業務運営を指導しているためだ。
窓販市場は年間4兆~6兆円規模で推移しており、販売額全体の1割程度。
生保各社は当初、既存の営業職員の脅威になると慎重だったが「今や無視できない重要な販売網」(大手生保幹部)と話す。
約5万人の営業職員を抱え、かつては解禁に最も慎重だった日本生命保険も三井住友銀行と関わりの深い三井生命保険を買収し、窓販強化に動き出した。
行員研修のサポート人員をこれまでの約2倍の140人に増やした。
背景には保険窓販が投信に比べて振るわないことがある。
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金融ビッグバンの流れを受けて窓販が解禁された投信は、11月末の銀行窓販残高(私募含む)が93兆4535億円になり、投信残高全体の約5割を占める。
保険業界では営業員の高齢化に加え、窓販シェアは1割を超えられずにいる。
銀行の支店では窓口の行員が1~2年で異動することが多く、営業職員に比べて既存の契約者へのフォローが手薄になりがちだ。
「既契約をタブレット端末で一元管理するシステムの開発などが必要になる」(三井住友海上プライマリー生命保険)。
窓販を増やすにはアフターフォロー体制の拡充も課題だ。
(日本経済新聞 2017/12/22)
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