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がんにかかる従業員の負担を企業がまかなう動きが出ている。
日立キャピタル損害保険は保険料を企業が負担する保険を開発。治療代の一部を負担してくれる企業もある。
日本では2人に1人ががんになるリスクがあるとされ、がんになっても仕事を続けられる環境整備が広がってきた。
日立キャピタル損害保険は企業向けのがん保険を開発した。
保険料を払う契約者は企業で、従業員の負担はない。
従業員ががんになると一定額の見舞金を出し、がんの治療などで仕事に支障がでる期間中の所得を補償する。
所得補償は1000日まで。高額で健康保険の適用外となる先進医療にも保険金を払う。
個人向けのがん保険は、一度がんになると再発のリスクがあるため加入できなかったり、加入できても保険料が高額になったりすることが多い。
この保険は契約時からさかのぼって過去1年にがん治療をしていなければ補償する。2018年度に40社と契約を見込む。
従業員の福利厚生としてがんの治療に配慮する企業はすでに出てきている。
サントリーホールディングスは4月、グループ会社を含む社員約1万人を対象に、重粒子線治療などの先進医療にかかる費用を支援する制度を導入。
1人当たり500万円を上限に補助する。
伊藤忠商事も従業員のがん対策に力を入れている。
国立がん研究センター中央病院(東京・中央)と提携して無料でがん検診を受けられるようにしたり、先進医療費を負担したりしている。
国立がん研究センターの調べでは、2人に1人が一生のうちにがんと診断されるリスクがあるという。
16年12月に成立した改正がん対策基本法では、がんになった従業員に対する事業主の責務を明文化。
企業に対し従業員ががんになっても雇用を継続できるような配慮や、治療と仕事の両立ができる体制の整備を求めている。
(日本経済新聞 2018/07/29)