
高血圧や糖尿病といった持病があっても加入できる生命保険はあります。
「引受基準緩和型保険」といい、健康な人が加入する通常の保険に比べて保険料は割高です。
最近は加入後の一定期間、保険金を受け取っていなければ、それ以降の保険料を割引にする商品も出ています。どんな仕組みなのでしょうか。
医療保険や死亡保険に加入するときには自分の健康状態を保険会社に伝えるのがふつうです。
この手続きを業界用語で「告知」といい、保険会社が保険契約を引き受けるかどうか判断するモノサシとなります。
会社によって多少の違いはありますが、通常の保険では十数項目の質問に答えなければならず、高血圧などの持病がある人は加入できないことが少なくありません。
引受基準緩和型の保険は告知を3~5項目に減らして通常の保険よりも加入しやすくした商品です。
告知事項としてよくある質問は「過去5年以内に、がん、肝疾患、精神疾患、腎疾患で入院したり、手術を受けたりしたか」「最近3カ月以内に、医師の診察で入院や手術を勧められたか」などです。
引受基準緩和型保険の契約件数について公表された統計はありませんが、医療保険では契約全体の1割程度を占めるとみられます。
保険料は通常の保険の1.1~2倍ほど。加入前からの持病で入院しても保険金は出ます。
さらに引き受け基準を緩和して原則としてだれでも加入できるのが「無選択型保険」です。
平準払いの終身保険の場合、保険料は通常の保険の1.5~2倍以上です。
引受基準緩和型も通常の保険と同じく保険会社間の競争で特徴のある商品が開発されており、保険料だけでは比較できません。
例えば、加入後1年間は入院しても保険金が半分しか受け取れないものが一般的でしたが、メットライフ生命保険は2017年7月に発売した商品でこの仕組みをなくしました。
ネオファースト生命保険は加入後5年間に保険金の受け取りがないか、通算で5日未満の入院であれば、それ以降の保険料を1~3割程度割り引く医療保険を16年から販売しています。
アクサ生命保険は8月から、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞で保険金を受け取った人について、重症化や再発を防止するプログラムを割安な費用で受けられる医療保険を発売しました。
同プログラムを運営する民間企業によると、脳梗塞の3年間の再発率が2.8%と、外来診療だけの場合の約10分の1に下がるといいます。
同社にとっても再発による保険金の支払いを減らせるメリットがあります。
(日本経済新聞 2018/09/01)