
生活習慣病の予防サービスで、保険会社が異業種と連携している。
SOMPOホールディングスは東芝と共同で、将来の疾病リスクを自動予測する人工知能(AI)を開発。
日本生命保険や第一生命保険も医療データを活用した疾病予測でIT企業などと連携した。保険会社や提携先のデータを組み合わせ、新たな事業創出に結びつける。
SOMPOHDと東芝は、健康診断結果などをもとに疾病リスクを予測するAIを開発した。
糖尿病や高血圧症、脂質異常症の3つに対応し、将来病気になる可能性をAIが判断する。
グループ全体で約500の健康保険組合と取引するSOMPOHDの顧客網と、東芝のデータ解析技術を組み合わせ、約100万人、最長8年分の健診データを分析した。
2019年度にも実用化する。健保や企業への提供を想定する。
例えば、健保組合員のうち5年後に糖尿病になるリスクを抱えた人が何割いるのかといった分析結果を提供する。
健保は組合員の食事や運動などを指導し、生活習慣を改善する。
健康保険組合連合会によると17年度は全体の42%にあたる580組合が赤字となった。
平均保険料率も10年連続で上昇し、財政難で大規模な健保も相次いで解散を決めている。
組合員の病気のリスクを軽減できれば、健保にとっては医療費の軽減も期待できる。
保険会社も蓄積したデータを生かし、新たなサービスや商品の開発につなげられる。
日本生命も18年度、野村総合研究所やリクルートホールディングスと組んで健保向けの健康支援サービスに参入した。
4月からオムロンや富士フイルムと組んで、糖尿病予防プログラムの開発を始めた。
現在、保険会社は年齢や性別といった大まかな属性や、病歴の有無で保険料を設定する。
異業種と組むことでさまざまな疾病を事前に予測できれば、今まで保険に入れなかった人でも保険に入れるようになったり、個人の状態に即した保険料の設定ができるようになったりする可能性がある。
(日本経済新聞 2018/10/19)