
目次
金融庁は7月7日、業界団体との意見交換会で提起した論点を公表した。
生保協会及び生損保両協会共通事項の論点は以下のとおり。
[生命保険協会]
1.持続可能な収益構造等に関するモニタリング
○ 我が国では今後生産年齢人口の減少が続き、それに伴い各社の保険料収入も減少していくこと等が予想される。こうした中で、各社は第三分野を中心とした保障性商品の拡販により量的拡大を目指す事業戦略を立てているが、将来的に生命保険市場の縮小が予想される中で、個社の事業戦略が実現するかは別として、こうした事業戦略は全体としては中長期的に成り立たない可能性。
2.顧客利益につながるサービスの提供
○ 営業職員を主力チャネルとする生命保険会社の主力商品は、複数の保障を重ね売りする総合保障商品であり、特に、医療保障を積極的に付帯している状況。
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○ 生命保険会社が提供するサービスが顧客利益につながり、持続可能なものとなっているか実態把握した。その結果、例えば、子供に対する医療保険が高い比率で付帯されている中、自治体で整備している子供の「医療費助成制度」により、医療費が軽減されることを募集資料で情報提供を始めた会社が認められた。
○ こうした顧客本位の好取組みは一部認められるものの、顧客が真に必要な保障を意識した場合、現在のような販売が続けられるか、顧客本位の観点から中核的な商品をどのように育てていくかなどが重要。
3.代理店チャネルによる保険販売等に関するモニタリング
○ 代理店チャネルによる保険販売等に関し、
①金融機関代理店による外貨建保険等の販売、及び、
②一般の乗合代理店におけるインセンティブ報酬等の在り方、に関するヒアリングを実施した。(金融機関代理店による外貨建保険等の販売)
○ 昨年10 月以降、特定保険契約については、代理店に支払う手数料率の顧客への開示が行われているが、それ以外の保険は、ほとんどの代理店で手数料率の開示が行われていない。一部の保険会社においては、代理店からの要請を受け開示することが適当と判断し、特定保険契約以外の保険についても手数料率を開示している。一方、ほとんどの保険会社において過度なキャンペーンは中止されていることが確認できた。
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○ 募集手数料については、乗合代理店の販売量の多寡に応じて決まるところが多く、必ずしも乗合代理店における丁寧な顧客対応やアフターフォローなどの役務やサービスの『質』を的確に反映したものとはなっていない。このような点を踏まえた募集手数料の見直しを検討し、 乗合代理店から役務やサービスの提供を受ける顧客にもきちんと説明できる合理的なものであるようにしていただきたい。
○ また、インセンティブ報酬については、複数の保険会社による販売競争のもと、本来、保険商品の商品性で競い合うべきところ、営業推 進面への偏重や費用の対価性に乏しい支出など、その『質』に問題があるものが認められたほか、インセンティブ報酬の高額化(『量』の問 題)も進んでいる。
○ インセンティブ報酬については、本来、「顧客本位の業務運営」を行うためのインセンティブ(動機づけ)となるべき。各社それぞれが、 何が顧客のためになるかを自ら顧客の立場に立って真剣に考え、本来、どういったもの(『質』)であるべきか、どのような水準(『量』)であ るべきかを、しっかりと検討し、顧客にもきちんと説明ができる合理的なものであるようにしていただきたい。
○ 金融庁としても、金融機関代理店や一般の乗合代理店を通じた保険販売等に関し、引き続き、各社の取組みについて実態把握と対話を行っていく。
(インシュアランス生保版 2017/08/03)
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