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生命保険業界が金融庁幹部の発言に揺れている。
主な生保会社は上場地銀の株式を数多く持つ「地銀界の大株主」。それなのに経営の監視役を果たさず、株主の立場をかざして保険の販売を迫っていると金融庁は不信感を募らせる。
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販売手数料の透明化を求めた昨年に続き、生保業界と金融庁の駆け引きが始まっている。
「投資先企業の価値向上のために、建設的なエンゲージメント(関与)を含めた投資判断が王道ではないか」
金融庁幹部は17日の意見交換会で生保業界の首脳を前に、株主としてこれまで以上に地銀経営と向き合うよう求めた。ある生保幹部は「寝耳に水だった」と振り返る。
日本経済新聞社が全国の上場地銀82行・グループの株主を調べたところ、上位10位以内の大株主に明治安田生命保険が七十七銀行など52行、日本生命保険は京都銀行など42行で名を連ねた。
両社は株式の保有目的を「純投資」と説明。
上位10位以内に大手生損保が入らなかったのは、池田泉州ホールディングスなど10行にとどまった。
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担保に頼らない地元企業への融資や起業家の育成などの地域貢献を地銀に求める金融庁。17日の意見交換会でも、住宅ローンの低金利競争に明け暮れる地銀のあり方に厳しい口調で言及した。
生保は預かった保険料を株式や債券で運用し、その収益を契約者への配当や保険金支払いに充てる。非効率さが目立つ地銀経営に物申さないのは、運用者としての責務を十分に果たしていないと金融庁の目には映る。
資本関係を盾にした販売政策にも疑いの目を向ける。自社の保険商品を優先的に取り扱ってもらったり、地銀職員の団体保険で契約の上積みを迫ったりしているのではないかという疑念だ。
(日本経済新聞 2017/02/22)
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