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長引く低金利などから2010年代に相次いだ生命保険大手の海外での同業買収。
当時は「高い買い物」との見方や、契約者にどう利益還元するかを疑問視する声もあった。買収後、実際にどう相乗効果が出ているのか。海外子会社のトップに聞いた。
――第一生命ホールディングス(HD)の傘下に入って7年。どんな相乗効果が出ていますか。
「TALのイノベーションチームは保険とIT(情報技術)を組み合わせたインステックの取り組みで、第一生命保険や米国の傘下生保と密に連携している。TALは(現地大手の)カンタス航空と組み、健康への取り組みに応じてポイントがたまる仕組みを提供している。こうした異業種連携のノウハウを、グループ各社に応用できる」
「資産運用部門では(第一生命HDが出資する)英ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズに運用の委託を始めた。同社の実績が高かったためで、今では運用資産の半分以上を委託している」
――オーストラリアの金融ビジネスの環境は。
「大きな変革期を迎えている。生保は生保、銀行は銀行などと専門化が進む。総合的な金融サービスを提供する会社は弱くなっていく。過去に成功した戦略が今後も通じるとは限らない。顧客満足度を高めていけるかが大事だ」
(日本経済新聞 2018/12/06)