
巨額資金を運用する生命保険各社が、運用先に悩んでいる。
超低金利の日本国債の運用が難しく外国債券の割合を増やしてきたが、米国の金利変動で運用コストがかさんでいる。
以前より利回りが上がった日本国債へ回帰する動きもあるが、金利水準が低いことは変わらず、運用環境は厳しい。
大手生保4社(日本、第一、明治安田、住友)の今年度下期(2018年10月~19年3月)の運用計画がこのほどまとまった。
上期と比べた日本国債への新規投資額は、日生と明治安田が「増加」、住友生命は「横ばい」。第一は「減少」だった。
超低金利の国債をあえて2社が増やすのは、日本銀行が7月に金融緩和策を修正し、金利上昇を容認したことが背景にある。
生保の運用が多い満期20年国債の最近の利回りは0・6%台で、日銀の政策修正前より0・1%幅程度上がった。
「積極的に国債を買いに行く水準ではまだないが、以前よりやや投資しやすくなった」(日本生命の秋山直紀・財務企画部長)
一方、各社が運用を増やしていた外債では異変が出ている。各社は外債投資の多くで、為替予約取引を活用して為替差損のリスクを回避(ヘッジ)している。
ただ、米国の長期国債の場合、最近は米国の短期金利が上昇して為替ヘッジのコストが上がり、長期債で得られる利ざやが目減りしている。
「消去法的に日本国債を選ばざるを得ない」(別の生保幹部)という。
(朝日新聞 2018/11/19)