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生命保険会社は、顧客に約束した保障責任を全うすることが最大の使命だ。
今年3月、日本生命の執行役員リスク管理統括部長に就任した大澤晶子氏に保険会社を取り巻くリスク管理のあり方を聞いた。
――生命保険会社にとってのリスク管理とはどんなものですか。
長寿化による人生100年時代で、保険会社にはこれまで以上に長期の保障責任が求められています。
保障を担保できる保険料を担保できる保険商品をどう設計するかを常に考えなければいけません。
さまざまな将来のシナリオをつくり、対応策を用意します。
――日本生命のリスク管理態勢はどのようになっていますか。
私が部長を務めるリスク管理統括部は保険引き受けや事務、システム、運用と様々な部門に分散しているリスクを一元的に管理しようと2007年度に発足しました。
保険数理の専門家であるアクチュアリーの資格を持つ社員など総勢50人以上が在籍。
さらに社内にはリスク管理統括部を中心とした経営会議の諮問会議「リスク管理委員会」を設置しています。
――リスク管理のあり方に変化はありますか。
医療技術の進展やITによる働き方の変化に伴い、将来の保険に機能低下以外にも新たなサービスに対するニーズが生まれています。
ただ新しいサービスや技術を導入する際には収益だけでなくリスクをどれくらい取れるかというバランスを考えねばなりません。
――低金利かではどのような資産運用がもとめられますか。
日本生命は約70兆円の資産を運用していますが、日銀のマイナス金儀の政策で運用環境は厳しさを増しています。
このため一定のリスクをとってでも利回り向上に努めなければなりません。海外資産やESG(環境・社会・当時)など成長・新規領域に投資を拡大しており、運用は将来より外国の市場変動に影響を受けやすくなっています。
グループ内の「ニッセイ基礎研究所」というシンクタンクの知見も活用しながら欧米の金融政策や政治情勢の動きなどを注視しています。
(毎日新聞 2018/07/02)