生保、地銀に統治改善促す

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「物言わぬ株主」ともされてきた大手生命保険会社が、地方銀行に企業統治(ガバナンス)の改善を促し始めた。

多くの地銀の大株主に名を連ねており、対話の強化を通じて経営課題への取り組みや社外取締役の適切な配置を求める。金融庁は生保などに投資先との実効性のある対話を求めており、生保各社はなれ合いから脱して地銀の経営改善を後押しする。

「物言う」株主に

各社の有価証券報告書などをもとに、上場する地銀80行・グループの2018年3月期の上位10位の株主を見ると、明治安田生命保険が49行、日本生命保険が41行で名を連ねる。

一方、損保各社はこの5年間で東京海上日動火災保険が22行から10行、三井住友海上火災保険が13行から4行に減った。持ち合い株の解消を進めたためで、この間も保有株に大きな変動のない大手生保とは対照的だ。

今なお地銀の大株主に名を連ねる生保だが、対話を通じて徐々に「物言う」株主として姿勢を強めている。

明治安田は18年度に、株式を保有する上場地銀76行すべてと対話する予定だ。上場地銀の大半の株式を持つ日生も、17年度は地銀との対話数を16年度の倍以上に増やした。18年度も継続して地銀の情報開示やガバナンスの面で改善を促す。

アナリスト同行

住友生命保険は17年度、重点的に対話をする相手に地銀を選んだ。訪問時にアナリストを同行させるなどして株主価値の向上を求めた。

人口減少や低金利の長期化で、地銀の経営難は深刻だ。事業の多様化や経営への適切な監視が求められているが、小規模な地銀を中心に社外取締役の整備などで不十分な面も残る。生保は直接対話を通じて企業統治の改善を促す狙いがある。

議決権行使の面でも是々非々で判断する流れができつつある。住友生命は福岡中央銀行の役員に対する退職慰労金の支給基準で改善が見られないとして2年連続で同議案に反対票を投じた。

不正融資で揺れるスルガ銀行も同じだ。

9月に退任した創業家出身の岡野光喜会長や米山明広社長などの取締役選任議案では、第一生命保険が岡野氏の選任に反対した。住友生命は「判断できる状況ではない」として一部棄権した。個別の行使結果を開示していない日生も、担当役員らの再任に反対票を投じたもようだ。

金融庁は生保に対して、契約者から預かった保険料を運用する機関投資家としてのあり方を厳しく問う。投資先とのなれ合いを排し、経営に目を光らせる責務があるとの認識だ。これに呼応した生保の対話強化ではあるが、問われるべきはその中身。表面上の対話でお茶を濁さず、企業統治のあり方に真っ向から切り込む「形式から実質」への転換が求められている。

(日本経済新聞 2018/10/16)

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