「健康・長生き」保険で後押し

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人生100年時代を迎え、健康に長生きしたい人を後押しする生命保険が相次いでいる。

第一生命保険は健診結果を出すと保険料を割り引く保険を発売。

住友生命保険も月内に、被保険者の健康状態に応じて毎年保険料を見直す本格的な健康増進型保険を売り出す。

よりきめ細かく契約者の健康の改善に向けた取り組みを進めるために、食品やIT(情報技術)企業などと連携する動きも広がっている。

住生の健康増進型保険は、運動や健康診断の受診など健康につながる取り組みをポイント化、たまった分に応じて保険料を割り引く仕組み。

健康状態の把握に使うのはスマートフォン(スマホ)やウエアラブル端末だ。ソフトバンクグループの協力を得た。

住生と共同開発した南アフリカのディスカバリー社はすでに同様の保険を欧米、中国で展開している。日本でもニーズはあるとみる。​

「健康・長生き」をキーワードに異業種連携も進んでいる。

「健康に関する知見を共有し日本の社会的課題である『健康寿命延伸』に取り組む」。

5月下旬、仏アクサグループの日本法人のアクサ生命保険は、ネスレ日本と業務提携した。

アクサ生命のニック・レーン最高経営責任者(CEO)がこう話すと、ネスレの高岡浩三社長も「保険会社とのアライアンスは世界で例がない」と応じた。

アクサ生命は今後、ネスレと健康に対する意識が高い層を対象とした保険商品の開発に取り組む。

ネスレの健康関連サービスを、アクサの契約者に提供することも検討する。

たとえば食事の栄養バランスの解析サービス。食事内容を写真で撮って対話アプリ「LINE」でネスレに送ると、人工知能(AI)が栄養バランスを診断する。DNA検査なども申し込める。

アクサ生命はKDDI(9433)とも提携している。まずはKDDIの簡易血液検査サービスを契約者に無料提供する。

保険とITを組み合わせた「インシュアテック」分野の共同研究にも乗り出した。

地域ごとの健康診断受診率などのデータを、KDDIの位置情報ビッグデータと組み合わせて蓄積。

2019年度にも新商品やサービスとして、実用化を目指す。

一方、長生きと健康を支援する「グランエイジプロジェクト」を展開する日本生命保険が組んだ相手は米アマゾン・ドット・コムだ。同社の人工知能(AI)スピーカー「アレクサ」を活用して認知症予防プログラムの提供を3月に始めた。

音声対話を通じたクイズで脳を刺激したり、生活習慣に関するアドバイスをしたりする。

50~70歳代を中心に、今後3~5年間で50万人の利用を見込む。

いち早く認知症対策に特化した保険の取り扱いを始めたT&Dホールディングス(8795)の太陽生命保険も今春、認知症予防アプリを刷新した。

(日経ヴェリタス 2018/07/15)

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