
医療保険が主力の保険会社の間で保険料を引き下げたり、据え置いたりする動きが相次いでいる。
死亡率の低下に加え、医療技術の進化で受診料が上がり本来は終身型で平均3~5%程度料率を上げるとみられていた。
医療保険は各社にとって売れ筋の商品で、販売競争の激化を背景に値上げは難しいと判断した。
保険会社は保険金支払いのデータなどに基づいて作られる「標準生命表」を基準に保険料を決める。
4月にこの生命表が11年ぶりに改定されることが決まり、改定後は現在40歳男性の場合で1000人中1・48人とされる年間の死亡率が1・18人まで下がる。
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これに伴い多くの生保は死亡保険料を引き下げる公算が大きいが、長生きする人が増えることによって病気やケガのリスクが高まるため、終身型を中心に医療保険は値上げするとみられていた。
保険料を据え置くのはオリックス生命保険のほか、ソニー生命保険、損保系生保の東京海上日動あんしん生命保険、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険だ。
ひまわり生命は死亡率引き下げに伴い、本来は7・5%程度の値上げが必要になるとみていた。
医療保険大手のアフラックは約1年前に先行して料率を改定している。
20~60代で値下げし、値下げ幅は3~10%程度に相当する。
三井住友海上あいおい生命保険は4月に新商品を発売。
主契約の保険料を3~10%引き下げる一方、一部特約を3~8%引き上げる方針だ。
メットライフ生命保険やネオファースト生命保険も生命表改定を見据えて新商品を発売した。
低金利に伴い円建ての貯蓄性商品の売り止めが続くなか生保各社にとって保障性の商品は今後成長が期待できる分野だ。
生命保険協会によると、2016年度の医療保険の契約件数は15年度比2・7倍の14万7227件と急速に伸びている。
特に新しい販売ルートを中心に成長するオリックス生命などにとって医療保険は生命線。
競争力を維持する上でも料率引き上げは難しいと判断した。
日本生命保険や第一生命保険などの大手生保も生命表改定に合わせ、保険料について慎重に検討を進めている。
日経電子版記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26810310S8A210C1NN1000/
(日本経済新聞 2018/02/13)
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