
「基幹職」で仕事・報酬区分を撤廃 / 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の取り組みは日本社会になじむのか―。
同社は2011年、職域を撤廃するために総合職と事務職を統合した「総合社員」制度を創設した。
7月にはもう一歩踏み込み、総合社員に設けていた転勤の有無を原則なくし、給与テーブルも統一した。
小売りなどでは転勤を制限した「地域社員」の導入が相次ぎ、人気を集める。
大場康弘社長は「大胆な改革だが、社員のやる気や能力を引き出すには仕事と報酬の区分けを取り払うことが必要」と施策の意義を強調する。
同社が新たに制度化したのは「基幹職」と呼ぶ働き方だ。
この職域は一般的な企業の総合職と事務職を統合したもので、生保業の同社の場合、保険の開発や保険金の支払い、営業、総務、事務など全ての業務間には垣根がなくなった。
さらに基幹職は転勤が可能で、給与や企業型確定拠出年金(DC)のテーブルも共通だ。
この7月から全社員の80%近い2100人が基幹職となった。
日本企業では同一の仕事でも入社時の職種区分で賃金や昇給が異なることが課題に挙がる。これに対し基幹職は仕事や報酬の区分を撤廃することで、同一の仕事に同水準の報酬を支払うことを可能にした。
昇進の機会も平等にし、社員の意欲向上させ、能力ある人材の活用促進を期待する。ただ転勤のない地域社員などへの人気が根強いのも事実だ。
同社は来春、30人の入社を予定するが半数は女性で、採用は計画通りだという。
大場社長は「採用への影響を懸念したが新制度を評価する声が多く、意欲的な人材にたくさん集まってもらえた。
今後の活躍が楽しみだ」と、会社の将来を担うフレッシュパーソンたちに期待を寄せる。
(日刊工業新聞 2018/09/12)