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生命保険各社が保険ショップに対する過度な販売支援策を廃止する。
各社は手数料を上乗せするなどして自社の保険商品を売ってもらうよう働きかけてきたが、販売コストがかかるうえ、手数料の高い会社の商品を優先して売るなど顧客本位といえない面があった。
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金融庁が不透明な慣行と批判しているのを受け、2018年度から保険ショップとの関係を見直す。
保険ショップは全国で2千店以上あり、保険契約の約10%を占める。
主な顧客は20~30歳代だ。
大手生保は女性の営業職員による販売が主体だったが、若年層を取り込もうとショップとの連携を強化。
日本生命保険は3月、ほけんの110番を買収すると発表した。
ただ金融庁は保険各社とショップとの慣行は不透明になっているとみている。
17年6月の生命保険協会との意見交換会では「何が顧客のためになるか真剣に考え、どのようなものか、どんな水準かをしっかり検討してほしい」と要請した。
これを受け、生保協会が自主規制を検討。
各社は過度な販売促進策や便宜供与ととられかねない行為をやめることにした。
特定商品の販売実績に応じて手数料を上乗せする「キャンペーン」と呼ぶ行為や、一定の販売量を超えると手数料を上乗せする「ボーナス」と呼ばれる行為が該当する。
このほか、表彰や研修と称した国内外の旅行、特定の代理店に「広告費」や「協賛金」などの名目で対価のない金銭を渡す行為もやめる。
生保側の持ち出しが減れば、保険料の引き下げにつながる可能性がある。
保険ショップも生保の意向と関係なく顧客の相談に乗れるようになるので、利用者の使いやすさも増しそうだ。
金融庁は年明けまでに生保各社に聞き取り調査をして、こうした行き過ぎた支援をやめる影響などを分析する。
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一方、生保協会は18年度中に加盟会社向けのガイドラインを改定し、手数料制度の見直しを明記する。
一部保険会社がショップへの便宜を供与し続けないように監視し、適正な競争環境を整える。
金融庁は16年5月に改正保険業法を施行し、保険ショップに顧客の意向に沿った商品提案や推奨理由の明示を義務づけた。
法改正にもかかわらず、行きすぎた販売支援は続いていた。
商品に応じて年間保険料の2倍の報酬を支払ったり、ハワイ旅行を贈呈したりといった事例もあったという。
生保は女性の販売員を主力とする営業で収益を伸ばしてきた。
だが、共働き世帯の増加や、オフィスへの立ち入りを制限するなど企業のセキュリティー対策の強化により、生保各社は営業職員による対面販売を展開しにくくなっている。
様々な会社の保険商品をそろえる保険ショップは家電量販店と似た仕組みだ。
顧客との接点を増やしたい各社が販路拡大を狙って活用しており、生保の中には保険ショップ向けの割安な商品を開発する会社も出ている。
(日本経済新聞 2017/11/26)
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