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日本生命保険は、若い世代や家族連れの顧客が多い保険ショップ(販売代理店)向けの保険開発を始める。
金融庁の認可を前提に2019年春にも専用会社をつくる。
保険ショップ最大手に出資する伊藤忠商事も関心を示しており、出資・連携を協議する。
新興の販売網である保険ショップへの対応に慎重だった最大手が方針を転換する。
今夏にも準備会社を設立し、新会社の認可を金融庁に申請する。
保険ショップは、保障内容が簡素で低価格な医療保険や、働けなくなった時に給料を保障する保険などを中心に販売している。
新会社は専用商品を開発し、全国各地の保険ショップに卸す。
日生は全国で5万人にのぼる営業職員による販売を強みとしてきた。
これまでは営業職員の脅威になるとし、保険ショップ向けの事業に慎重だった。
近年は職場や自宅への訪問販売が難しくなり、営業職員が顧客との接点を持ちづらくなった。
営業職員の販売網を補完する狙いで、保険ショップや銀行窓販を強化する方針に転換した。
矢野経済研究所(東京・中野)によると、来店型保険ショップの市場規模(新契約の年換算保険料)は、11年度の665億円から17年度に2064億円まで拡大したと推定される。
日生の新会社には、伊藤忠も関心を示している。
伊藤忠は13年度に朝日生命保険と折半出資で保険ショップ向けの事業会社を設立。
14年度にはショップ最大手「ほけんの窓口グループ」にも出資し、持ち分法適用会社としている。
日生と伊藤忠は新会社への出資・協業のあり方を探る。
保険ショップへの対応では、オリックス生命保険やメットライフ生命保険などの新興生保が先行する。
日生も17年度に銀行窓販に強いマスミューチュアル生命保険の買収を決め、販路開拓を進めている。
低金利下で貯蓄性保険の販売が伸び悩むなか、低価格の医療保険や働けなくなった時の資金保障保険は成長分野でもある。
最大手が本格的に保険ショップ分野に参入することで、商品の競争は激しくなりそうだ。
(日本経済新聞 2018/05/14)