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日本生命保険が米国の資産運用会社TCWに出資する方向で優先交渉に入ったことが27日、分かった。
株式の2~3割程度を年内に取得する方針で、取締役の派遣も検討する。
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日銀のマイナス金利政策による超低金利で生保各社が運用難に追い込まれる中、日本生命は世界最大の市場である米国での運用比率を高めて収益力を強化する。
TCWは外国債の運用に強みを持つ。
米投資ファンドのカーライル・グループが2012年に仏大手銀行ソシエテ・ジェネラルから買収し株式の約6割を保有する。
今年6月末の運用資産残高は1969億ドル(約22兆円)と米国では中堅。
日本生命は4月、長期で安定的な利回りの確保を目的に、インフラや環境など成長分野に4年間で1.5兆円を投じる計画を打ち出した。
今回のTCWへの出資を計画達成への弾みとしたい考えだ。
日本生命保険が米国で資産運用会社への出資に乗り出すのは、収益源を多角化しグループ利益を拡大する狙いがある。
運用の一部をTCWに任せ、米国での運用ノウハウを吸収できるメリットもある。
ただ、M&A(企業の合併・買収)ではなく出資に留まるため、どこまでTCWのノウハウを取り込めるか不透明な部分もある。
「買収はしないが、出資はありうる」・日本生命の幹部はこう打ち明ける。
日銀のマイナス金利政策で低金利が続く中、生保各社は日本国債中心の運用で収益を上げるのが難しくなってきた。
各社は、高利回りの見込める新興国の国債やインフラへの投資を強化するなど、リスクをとって高い成果を得られる手法を模索している。
ただ、日本の生保各社が海外の保険会社や資産運用会社を立て続けに買収したことで、買収に掛かる費用は年々膨らんでいる。
第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険は4千億~6千億円台で米保険会社を買収した。“高値づかみ”になれば投資金額を回収できなくなる恐れもある。
日本生命も保険会社の買収を視野に入れていたが、第一生命を除くと買収効果が主に配当収入にとどまっていることもあり、保険会社の買収ではなく、資産運用会社への出資に方針を転換したとみられる。
(産経新聞 2017/09/28)
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