
日本生命保険は、ビッグデータ(大量データ)の収集や分析などを行う「データサイエンティスト」の育成に乗り出す。
保険契約時の健康状態と将来に支払う保険金の関係性を高度に分析し、保険の加入基準の緩和につなげる、基準が引き下がれば、より多くのひとが保険に入れるようになる。
自前で人材をそろえ、社内外のビッグデータの活用を強化する。
既に職員約30人を育成講座に派遣しており、数年かけて100人規模に増やす方針だ。
生保会社はデータを扱う社員を一定規模抱えるが、ビッグデータの収集や分析、既存事業への応用などを専門的に担うデータサイエンティストを本格的に育成するのは日本生命が業界で始めて。
生命保険は契約者間の公平性維持などの観点から一定の加入基準を設け、死亡や病気のリスクが高い人の引き受けを制限する。
育成したデータサイエンティストは新たな医療データなどを外部から調達し、日本生命が持つ保険金の支払い実績などととともに好悪度名分析を実施する。
特定の健康状態がこれまで考えていたよりも保険金の発生が少ないといった新たな関係性が確認できれば、加入基準を緩和し、広く保障を提供できるようになる。
さらに、超定期金利環境の長期化にさらされる資産運用や顧客開拓などのマーケティング分野にもデータサイエンティストを登用し、先端データの分析や利活用を進める。
現在、データの取り扱いに携る職員を中心に、東京大学やブレインパッドの育成講座に派遣しており、今後も取り組みを継続し、数年かけて大幅に増員する。
(日刊工業新聞 2018/08/31)