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人の身体的特徴や行動パターンといった「生体データ」を活用した新たなサービスが、保険や小売りの分野で広がっている。
身につけやすい小型端末や、精度の高い画像センサーなど、ITの高度化が背景にあり、健康管理や事故の削減、販売戦略の強化などでビジネスチャンス拡大が期待されている。
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住友生命保険は今夏、ソフトバンクと提携し、腕時計のように常時装着できる「ウエアラブル端末」で収集した加入者の健康情報をもとに、保険料を割り引く生命保険を発売する予定だ。
スマートフォンのアプリと連動させ、歩数やスポーツジムでの運動といった健康増進活動の記録を数値化する。
欧米やアジアで同様の保険を販売する南アフリカの保険会社と業務提携し、日本の平均寿命や医療データなどに合った割引幅を検討している。
海外では5段階評価に応じて契約更新時に年間保険料を最大3割ほど割り引いている。
SOMPOリスケアマネジメントは2017年3月、バスやタクシー、トラックなどの運転手の健康を管理するサービスを始めた。
血圧や睡眠時間など日々の健康データを蓄積するほか、ウエアラブル端末やドライブレコーダーで運転中の心拍数や走行記録も収集。
体調の異常やその兆候を見つけやすくし、事故防止につなげる。
東京海上日動あんしん生命は、歩数を自動測定する腕時計型端末とスマホアプリを連動させ、1日平均8000歩の目標を達成すると保険料の一部を還付する医療保険を販売している。
端末は消費カロリーや睡眠の深さを測ることもでき、健康管理にも役立つ。
加入者が健康増進に努めれば、保険会社には保険金の支払いが減るメリットがある。
ただ、健康情報やカメラ画像といった個人情報の利活用には消費者の警戒感も根強い。
NECは、カメラ画像の利用は経済産業省など官民がまとめたガイドブックに従って運用するとした上で、「情報の収集や活用は丁寧に説明していく」と話している。
(毎日新聞 2018/04/03)