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生命保険会社は日本の国債への投資にそろりと動き始めている。
26日出そろった国内の主要生命保険10社の2018年度下期の運用方針では、純減が続いてきた国債の投資額が増加に転じる見通しだ。
外国債券へ投資するコストが上がっていることや、世界経済への不透明感の高まりで外債投資に慎重になっている。
生保各社に聞き取りで調査した。
日本、第一、明治安田、住友、大同、太陽、富国、朝日、三井、かんぽから下期運用計画の回答を得た。
国債投資額の合計は、最大7600億円の純増となる見通し。上期の8600億円の純減から一転、増加に転じる。
各社は国内の低金利を受け、17年4月に多くの生保があらかじめ顧客に約束する予定利回りを引き下げた。
引き下げ後に取り扱いを始めた円建て保険を巡り、預かった保険料分を比較的金利が高い30年物国債などの超長期債に振り向ける動きが足元で出始めている。
これまで国債に代わる運用先だった外債投資にはブレーキがかかっている。
下期の純増額は6000億~1兆円程度の見通し。上期は2兆2000億円の純増で、半分以下に減速する。
主な要因は米国の利上げにより、為替リスクをなくすために支払う「ヘッジコスト」が大幅に上がったことだ。
ヘッジ後の(米国債の)利回りはほぼゼロに近く、こうした分を減らして「比較的利回りを確保できる欧州債などに入れ替える」(第一生命保険の重本和之運用企画部長)動きが進む。
(日本経済新聞 2018/10/27)