
来年春に卒業予定の大学3年生らに向けた主要企業による会社説明会が1日解禁となり、就職活動が本格的に始まった。
人手不足で「売り手市場」が続く中、住友生命保険や損害保険ジャパン日本興亜など大手金融機関は学生の評価に人工知能(AI)を使い始めた。
将来の活躍が期待できる人材を見極めるのに役立てる狙いで、企業では採用活動の効率化へAIを活用する動きが広がり始めている。
—自己PRを数値化
住友生命は1日、来春入社予定の新卒採用から、エントリーシートの分析にAIを導入する計画を明らかにした。
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自己PRや志望動機の内容から、コミュニケーション能力やリーダーシップといった複数の項目について、数段階で数値化する。
面接官だけでなく、AIがはじき出した評価も参考にすることで、人材の取りこぼしを避ける。
入社後の進路も追跡し、社員がどういう分野で力を発揮したかを分析し、戦略的な人事配置や人材開発に生かす。
—指の動きに注意?!
損保ジャパン日本興亜は新たに、一芸に秀でた学生を採用するコースを設ける。
起業経験があったり、スポーツや芸術分野で卓越した実績を納めた学生を数人採用する。
過去の採用実績がないことから、AIの力を借りることにした。
具体的には、スマートフォンのアプリで適性検査を行い、論理的な思考ができているかなどを判断する。
入力時の指の動きも読み取り、本人が自信を持って回答したものかを測定する。
他の選考コースへの拡大も視野に入れている。
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リクルートキャリアが2月に発表した「就職白書2018」で、企業に新卒採用活動にAIを活用することで期待できる成果を尋ねたところ、最も回答が多かったのは「マンパワーの削減」(73.7%)だった。
「合否基準の統一」(45.8%)、「採用可能性の高い人材の抽出」(34.4%)が後に続いた。
この調査に協力した1,192社のうちAIを導入済みの企業は0.4%、検討中の企業は7.5%にとどまる。従業員数5,000人以上に限れば、検討中の企業は23.4%に跳ね上がる。
魅力的な学生を他社よりも多く獲得しようと、規模の大きい企業から、採用活動へのAI導入が進みそうだ。
(フジサンケイビジネスアイ 2018/03/02)
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