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生命保険会社は、為替リスクをヘッジしないオープン外国債券への投資を拡大する。
米国の利上げで為替ヘッジコストが上昇し、米国債の利回りが極端に低下しているためだ。
2018年度下期の運用方針では、日本生命保険や明治安田生命保険、朝日生命保険などがオープン外債を積み増す。
米国債のヘッジコストの上昇は、生保会社がこれまで抑制してきた国債投資の再開にも向かわせている。
米国の利上げに伴いヘッジ後の米国債の利回りはほぼゼロに近く投資対象としての魅力が大きく低下している。
これにより生保会社はヘッジ付き外国債の圧縮を迫られる格好で下期の為替動向をにらみつつオープン外債の調達に動く方針だ。
明治安田生命の山下敏彦副社長は「円高局面では、(オープン外債を)効果的に積み増す」と強調した。
住友生命保険も「米ドル以外の通貨への分散投資を図る」(藤村俊雄運用企画部長)としつつも、円高の進展でオープン外債を増やす計画だ。
さらに、ヘッジ付き米国債の利回り低下は、生保会社を国債投資に向かわせそうだ。
米中貿易摩擦などを発端とする世界経済の不透明感も、生保会社の外債調達を慎重にさせており、超長期債を中心とする国債の買い入れに向かわせている。
ただ国債は日銀の政策微調整で流動性がやや戻るが、金利は積極的に投資できる水準ではないとの指摘が大半を占める。
生保会社はヘッジ付き外債の配分調整を迫られる中で、比較的安定した運用が望める国債を買い入れて当面をしのぐ算段。
日本生命の秋山直紀財務企画部長は「(国債の利回りは)絶対水準としては不十分だが投資しやすくはなった。
超長期債の金利が1%を超えれば積み増しに動きたい」と述べた。
(日刊工業新聞 2018/10/30)