
厚生労働省は、海外での臓器移植手術を公的保険の給付対象にする方針を決めた。
現在は全額自己負担で、渡航費などを含めると億単位の費用がかかる。
給付額は心臓移植なら1千万円ほどになり、患者や家族の負担を少しでも軽減する狙いだ。
今月中にも健康保険組合などに通知する。
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対象は、
①臓器ごとに学会が定める移植希望者の基準を満たし、移植仲介機関の日本臓器移植ネットワークに登録している
②海外で急いで移植を受けないと命が危険と専門医が判断した、という二つの条件を満たした患者に限る。
安易な渡航移植を防ぐためだ。
国内で移植を待つ人は全臓器で約1万4千人いる。
脳死下の臓器提供は増加傾向にあるものの海外と比べて少ないままだ。
2015年の100万人当たりの提供者数は米国28.5人、韓国10人に対して日本は0.7人にとどまる。
10年に臓器移植法が改正され、15歳未満の子どもからの臓器提供も可能になった。
今回、主な給付対象になると想定されるのは子どもの心臓移植で、毎年新たに50人ほどに必要になる。
多くは移植を待ちながら亡くなっている。
今年10月末現在で、心臓移植を待つ15歳未満の子どもは38人に上る。
また、心臓の渡航移植の場合、高額な医療費に加えて医療用チャーター機の手配や、滞在費を含めると2億~3億円ほどかかるとされる。
今回の制度が導入されても巨額の自己負担の問題は残る。
(朝日新聞 2017/12/16)
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