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「相互扶助」から「リスク管理」へ

​「キャッシュバックまであと1日平均8566歩」。

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スマートフォンの画面に、目標達成までの歩数が表示される。

歩数を自動測定する腕時計型端末と連動した、東京海上日動あんしん生命の医療保険「あるく保険」のサービスだ。

加入者に端末を貸し出し、1日平均8000歩の目標が達成されると、2年後に保険料の一部(30歳男性で2400円)を還付する。

記者が8月上旬から端末を借りて体験した。

入浴と就寝中以外は常に身につけ、一駅程度なら電車を使わず歩くよう心がけた。

エレベーターやエスカレータも極力使わず、階段を上り下りした。

すると1ヶ月弱で体重が2キロ近く減少。

目標が明確になると、より健康に配慮できると実感した。

同社担当者は「キャッシュバックを励みに加入者が健康増進に努めれば、結果的に保険金の支払も減る」と説明する。

「あるく保険」のように、ITを活用した新たな保健サービス「フィンテック」は保険業界にも急速に浸透し、「インシュアテック」とも呼ばれる。

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普及を支えているのが、インターネットであらゆる機器がつながる「モノのインターネット(IoT)」や、膨大な情報集積「ビッグデータ」だ。

例えば、複数の保険会社が開発を進める「テレマティクス自動車保険」は、車内にセンサーを設置して、ブレーキを踏む回数やハンドルの切り方などの運転データを測定。

「安全運転」と評価されたドライバーは保険料が割り引かれる。

第一生命保険グループのネオファースト生命保険は、約160万人の健康診断結果などのビッグデータを分析し、血圧や尿検査などの健康診断結果に基づいて「健康年齢」を算出する手法を開発。

昨年12月、加入者の実年齢より健康年齢が若いほど、保険料が安くなる保険を開発した。

保険は本来、将来自分に何が起こるか分からないことを前提に大勢の人が少しずつお金を出し合い、困っている人を支える「相互扶助」が基本だ。

しかし、ビッグデータの解析によって、契約者の事故や病気などのリスクをより精密に予測できるようになれば、保険料は一人一人細かく分かれていく可能性がある。

日本損害保険代理業協会アドバイザーの栗山泰史氏は「契約者が自分のリスクに応じた保険を選べるメリットがある一方、リスクが高い人は保険料が上がり過ぎて事実上加入ができなくなるなど、相互扶助の観点からはデメリットもある」と指摘する。

リスク予測の進化は、長く続いてきた保険のビジネスモデルも一変させそうだ。

堀田一吉・慶応大教授(保険学)は「(事故や病気の)リスクを予測できるようになれば、低リスクの人は保険に入らなくなる可能性があり、保険業界にはマイナスかもしれない。

一方で、(病気や事故の予防といった)リスク管理を新しいビジネスに生かせば、保険業界の新たな発展の可能性が生まれる」との見方を示す。

(毎日新聞 2017/08/29)

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