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生命保険各社は「人生100年時代」と言われる高齢社会の進展を見据え、シニア顧客へのサービスを強化している。
少子高齢化と若年層の保険離れで、特に大手生保の顧客は年齢層が上がっている。
各社は専門部隊を設け、他社と連携するなどしてサービスを拡充。手続きを代筆するサービスや、定期的な訪問などフォローを充実させている。
【サポート迅速に】
明治安田生命保険は、高齢顧客など自力の手続きが難しい顧客に対するサポート制度「MYアシスト+(プラス)」を、23日から始めた。
専用の対応デスクや顧客カードを発行しフォローを迅速化する取り組みは業界初だ。
視力が低下して帳面や画面の文字が読み取れない場合、同社職員が顧客の自宅を訪問し代筆などをサポートする。
従来は店頭での代筆しか行わなかったが、自宅や病院でもできるようにする。
そのほか、最近のヒット商品である外貨建て保険では、音声での商品内容確認を実施する。
【郵便局内で実証】
日本生命保険も高齢者対応で新たな取り組みを始めている。
日本郵便と連携し、郵便局内でテレビ電話を活用した保険サービスの実証実験を行っている。
北海道利尻町や東京都八丈島八丈町など高齢契約者が多いエリアを実験地に選定。
テレビの向こうのスタッフと話し、受取人変更や取引口座の変更などを可能にしている。
太陽生命保険も高齢者対応に力を入れている。
シニア顧客への年1回の訪問活動のほか、保険金・給付金の確実な支払いを実現するため、専門知識を持つ内務員「かけつけ隊」を派遣している。
高齢顧客が自力で診断書を取得できない場合などに、代行取得するサービスも実施。
かけつけ隊の専用端末からデータ送信してから30分後に給付金支払いを実現できるスピード感もあり、契約者から高い評価を得ている。
【人口減少に備え】
また最近は、他業界の企業と連携し高齢者の状態確認をするサービスが増えている。
アフラック生命保険は日本郵便と連携し、日生や太陽生命はヤマト運輸と連携している。
シニア顧客が増える一方、人口減少で保険会社の営業職員確保が難しくなることも想定される。
外部サービスを活用したフォローは、今後増えていきそうだ。
(日本経済新聞 2018/04/26)