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生命保険各社はこの春、貯蓄型の終身保険などの保険料を一斉に値上げしました。
保険料で預かったお金は国債などで運用しますが、低金利で約束した利回りが難しくなっているためです。
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今後の保険料の動向や商品の販売戦略について、日本生命保険の筒井義信社長(63)に聞きました。
ー2017年度末までの経営計画を今春、前倒しで見直しました。なぜですか?
「日本銀行のマイナス金利政策の影響が大きい。資産運用が難しくなり、収支も健全性も低下した。しかも、この低金利環境は長期化する恐れがある。2年前に始めた計画は前提が崩れ、意味のないものになった。異例ではあっても、一刻も早く環境に見合った形でスイッチを入れなおす必要があった」
ー保険料の見直しは顧客に大きな影響が出ます。
「残念ながらこのところ、一部商品の大幅な値上げをした。お客さまに負担を強いることになり、これ以上の値上げはしたくない。だが、値上げをしないと、保険会社の健全性が低下してしまう。お客様に多大な負担にならないよう、バランスを取っていく。」
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ー一部商品の販売停止にも踏み切りました。
「幅広い保障を提供するという使命感にたって、既存の商品ラインアップは守っていきたい。加えて、今後は超低金利時代にも耐えうる新しい保険の開発も進めていきたい」
ーそのような新商品を出していきますか。
「昨年、「トンチン年金」といわれる、長生きした人に多くの保険金が支払われる商品を発売した。長生きは祝福すべきことだが、経済的なリスクを伴う。そうした社会課題につながる商品を開発していきたい。平均寿命と健康寿命のギャップはだいたい10年程度ある。この間の医療や経済的な備えが重要だ。また、高齢者は個人年金資産が集中している層でもある。資産管理や、子や孫への相続ニーズは高い。生保会社として、どう役にたてるかを考えていきたい。」
(朝日新聞 2017/05/24)
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