
生命保険各社が「節税」をアピールして中小企業経営者に売り込む保険について、金融庁が商品の設計などを問題視し、実態調査に乗り出した。
保険料支払いで課税所得を減らし、将来解約すれば保険料の多くが戻って節税効果を上げる商品。最近は保険会社の営業が過熱しており、金融庁は保険の趣旨を逸脱するおそれがないかも調べる
問題になっているのは、「法人向け定期保険」。
主に中小企業が契約し、経営者や役員の死亡の際に保険金が支払われる。
いくつかの条件を満たせば、保険料は全額経費扱いになる。企業は保険料支払いで利益を圧縮し、法人税支払いを減らせる。
加入後10年程度で解約すれば、支払った保険料の多くが「解約返戻金」として戻る。
利益を上げて税金を払うより、保険に入って返戻金を受け取った方が手元にお金が残る。
返戻金は課税されないように、退職金などの経費に充てる。
日本生命が昨年4月に発売した「プラチナフェニックス」の場合、60歳で契約し、保険料を10年間支払った後解約すると、当時の基準で支払った保険料の約85%が手元に残る。
これに対し、通常通りに法人税を払うと、利益のうち手元に残るのは約66%だ。
保険に入った方が、手元に残るお金は3割近くも多くなる。
生保各社は同様の商品を相次いで投入しており、第一生命が今年3月発売した商品では、手元に残るお金が、法人税を払った場合より4割超も多いケースがあった。
(以下、省略)
(朝日新聞2018/06/29)