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異次元緩和で国債の利回りが低下し、債券市場が閑散とする中、影響は身近な金融商品にも出ている。
「為替市場の変動により、損失が生じる恐れがあります」。
明治安田生命が、8月から販売を始めた外貨建一時払い保険の契約者向けパンフレットには、リスクに関する注意が大きく書かれている。
契約時に日本円で一時金を払い込むと、満期10年で、約束した利回りを上乗せした保険金を受け取れる貯蓄型保険だ。
ただ、運用は米ドル建てで為替変動の影響を受ける。
契約時より円高なら、為替差損が出る可能性がある。
円建ての保険に慣れていた人に、外貨建商品をきちんと説明しないといけない。
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ある女性営業職員はリスクの説明に細心の注意を払うといい、「お客さまに聞かれる前に必ずこちらから説明します」。
保険会社はこれまで、預かったお金を低リスクで運用するため、国際を中心に投資してきた。
しかし国債の利回りが低下し、魅力的な利率の商品が提供できなくなっている。
昨年2月、日銀がマイナス金利政策を導入して以降、国債の利回りは一段と下がった。
貯蓄型保険は保険料の値上げや販売停止が相次いだ。
生保幹部は「商品として成り立たないレベル」という。
各社は比較的高利回りの外貨建商品の販売に力を入れる。
第一生命はグループ会社の商品を売るほか、日本生命は10月から営業職員が子会社の三井生命の商品を扱う。
住友生命は7月から、メガバンクに加えて地方銀行の窓口向けの商品も売り出している。
国債の保有割合で、生命保険会社の比率はまだ高い。
ただ最近各社は、国債の満期で償還された資金を、外国の債権や海外の事業融資に振り向け始めている。
(朝日新聞 2017/09/10)
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