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平成28年5~9月の熱中症による救急搬送人数は、累計約5万人にものぼりました。
平成29年7月の速報値では、多い週で約7千人もの人が救急搬送されました。
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そのうち、なんと約4割が住居で発生しています!
(※敷地内全ての場所を含む 総務省消防庁 平成28年救急搬送状況・平成29年速報値より)
熱中症が起こる 原因とメカニズム
暑い日に、体温が上がり過ぎないように、身体は皮膚の表面から空気中へ熱を放出することで体温を調整しています。
また、汗が蒸発するときに気化熱によって熱を奪うことで体温を下げようとします。
ところが気温が体温より高くなると、熱の放出が難しくなります。
なぜなら、熱は高い方から低い方へ移動するため、気温の方が高くなると、熱が身体へ流れてしまい、体温が上昇してしまうからです。さらに湿度が高いと、汗をかいても蒸発せずに流れ出るばかりなので、上手く体温調節ができなくなります。また、発汗によって体内の水分量が極端に減ってくると、心臓や脳を守るために血管が収縮し、さらに熱が放出しにくくなってしまうのです。
熱中症が起こる大きな原因は以下の3つです。
1.気温と湿度が高い
2.風が弱い
3.日差しが強い
このように、熱中症は体温調節機能がコントロールできなくなり、体温がどんどん上昇してしまう機能障害と言えます。
室内で熱中症が起こる理由は?
たとえ室内でも、室温と湿度が高くなれば、熱中症にかかりやすい環境になり、実際に気温、湿度、日射などの環境熱を取り入れた暑さ指数(WBGT*)が28℃を超えると熱中症患者が増加することが分かっています。
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「室内にいれば、熱中症にならない」と思っている人は少なくありませんが、近年では室内でも熱中症になる人が増えています!
部屋を閉め切って風通しが悪かったり、雨が降って湿度が高くなった場合など、高温多湿の条件が揃えば熱中症になる可能性は十分あります。
特に、体温調節機能が衰えている高齢者や、未発達の乳幼児は注意が必要です。
*室内で熱中症になりやすい環境の例
・エアコンや扇風機を使わず高い室温の状態
・気密性が高く空調が効きにくい部屋
・風通しが悪く湿度が高い部屋
・直射日光が入り温度が高い部屋
・蒸し暑いバスルームやキッチン
・狭いトイレ
・前日より急に気温が上がった場合
*熱中症になりやすい人
・高齢者、乳幼児
・体調不良で脱水症状気味の人
・寝不足の場合
室内で起こる熱中症は危険!?
熱中症の症状は屋外と室内でも基本的に変わりありません。
しかし、室内ではあまり動かず水分を摂らないため、汗をかかないのに知らない間に熱中症になっている「隠れ熱中症」になっている場合があるので注意が必要です。
*WBGT…①気温 ②湿度 ③輻射熱(ふくしゃねつ)の3つを取り入れた温度の指標。
正確には、風も指標に影響する。
暑さ指数(WBGT)=気温の効果:湿度の効果:輻射熱の効果=1:7:2
熱中症の症状と対処方法は?
初期症状
・めまい ・だるさ
・動機 ・筋肉のけいれん
・手足のしびれ
・汗の異常
(汗が止まらない/全く出ない)
中期症状
・頭痛(頭がガンガンする)
・吐き気、嘔吐
・脱力感
・集中力、判断力の低下
重症期症状
・意識障害
・けいれん
・運動障害
・高体温(40℃以上)
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対処法
・涼しい場所で足を少し高くして休む
・水分と塩分を摂った後、医療機関へ(吐き気がある時は水分補給に注意)
対処法
・すぐに救急車を呼ぶ
・到着まで体全体を冷やす
(太い血管がある首や脇の下、太もものつけねなど)
・意識がない時は水分を与えてはいけない
対処法
・水分と塩分を摂り、涼しい場所に移動
・服をゆるめてしばらく休む。
室内での熱中症を防ぐには?
高齢者の熱中症の大半は室内で起こると言われており注意が必要です。
熱中症にかかっているのに初期症状がなく、急に倒れることもあります。
室内での熱中症を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
室内の 熱中症を防ぐ方法
●直射日光を遮る工夫をする
真夏、日差しが強い部屋は冷房をつけてもあまり効かず、夜になってもなかなか室温が下がらないことがあります。
遮光性の高いカーテンやすだれで直射日光を遮る工夫をし、出来るだけ室温を上げないように工夫しましょう。
●我慢せずにエアコンや扇風機を使う
節電のため冷房を極力使わない人がいますが、暑いときは我慢をしてはいけません。
エアコンがない部屋では、窓を開け扇風機で空気を循環させましょう。
●温湿度計で確認する
体温調節機能が低下している高齢者は、室温が高くても暑いと感じないことがあります。
温湿度計を設置し、夏の時期はこまめに確認しましょう。睡眠時の熱中症も増えていますので、寝室の温湿度にも注意しましょう。
●水分補給はのどが渇く前にこまめに
暑い屋外にいるときは誰もが意識して水分を摂りますが、室内にいるとのどがあまり渇かないため、気付いたら熱中症になりかけている場合もあります。
特に暑い日はのどが乾く前に水分補給をしましょう。
熱中症になった時は、水よりもナトリウムなどの電解質や糖分が入ったスポーツ飲料が良いとされていますが、汗をあまりかかない室内にいて、予防のためであれば水や麦茶などでよいでしょう。
とにかくこまめに摂ることが大切です。
ちょっと具合が悪い程度でも、短時間のうちに重症化してしまう場合がありますから、症状を見過ごさないようにしましょう。
特に高齢者や乳幼児は自分では気付くかないことが多いので、周囲の人たちが注意してあげる必要があります。
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