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LINEは損害保険ジャパン日本興亜と業務提携する。
2018年中にスマートフォンの対話アプリ上で損害保険の加入や支払い手続きをできるようにする。
人工知能(AI)を使った相談なども検討する。
LINEは金融事業を組み合わせて主力の対話アプリ事業の収益力を高める。
損保ジャパンはLINEの7300万人に保険商品を販売する。
1月に設立したLINEの金融子会社「LINEフィナンシャル」が、損保ジャパンの保険商品を販売する。
日帰りハイキングや海水浴場などレジャーに関するトラブルに備えた短期で加入できる保険を提供する。
保険料は1回当たり数百円程度で、対面販売などで扱いにくい少額の商品を取り扱う。
スマホを使った決済サービス「LINEペイ」で保険料を支払ったり、保険料の支払いを延滞している顧客に通知するサービスも検討する。
AIが対話アプリで顧客の質問に答える「チャットボット」のほか、データを分析して利用者が必要な保険を薦める機能も開発する。
18年下半期にサービスを開始する自転車シェア向けの保険など、LINEのサービスとの相乗効果も見込む。
対話アプリの世界市場の勢力図はほぼ固まったとされる。
LINEの利用者は17年12月に前年から1割増えた一方、海外の主要国は6%減の9500万人だった。
LINEは海外進出よりも利用頻度を高めることを重視。
国内の顧客基盤を生かし、対話アプリに様々なサービスを集約する戦略にカジを切っている。
その柱の一つが、利用者との中長期的な関係を築ける金融分野だ。
18年に300億円の成長投資枠を設け、約半分を金融とIT(情報技術)を融合するフィンテックに投じる。
1月に金融庁に仮想通貨交換業の登録を申請した。
野村ホールディングスとは5月めどに証券事業の共同出資会社を設立。国内の個別株や世界の株式に分散投資できる投資信託など資産運用の手段を対話アプリを通じて提供する。
一方、損保ジャパンはLINEと組むことで従来の顧客層とは異なる若年層を開拓する。
LINEの持つ7300万人の利用者の消費性向などのデータを分析し、若年層の求める商品の開発につなげる戦略も描く。
国内保険市場が成熟するなか、損保ジャパンは最先端のデジタル技術を駆使した事業展開を強化している。
ネット系サービスなど金融分野以外の業種とも提携を進めており、民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーとも提携を結んでいる。
(日本経済新聞 2018/04/25)