
目次
「生活水準保障」といってもぱっとイメージがつかないですね。
重い病気にかかった後の生活がどうなるか、というお話です。
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人生のリスクとそれに対する社会保障制度を含めた自助努力の関係について考えてみたいと思います。
まずは、「医療のリスク」。
病気にかかった場合の治療費などがあてはまります。
この「医療リスク」への備えとしては社会保障制度の中に、公的医療保険があります。医療費の3割負担とか、高額療養費制度など、こういったものがあてはまります。
ただ、公的医療保険ではまかないきれないところがありますので、多くの方は自助努力として、保険会社の医療保険にご加入しています。
「万一の場合リスク」
ご家族の生活費などがあてはまります。こちらの備えとしては社会保障制度の中に公的年金の遺族年金があります。
ただ、遺族年金だけでは生活費が不足するということで、自助努力として死亡保険にご加入されている方が多くいらっしゃいます。
では、「罹患後の生活のリスク」。
これは重い病気にかかった後の生活費などがあてはまります。
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“重い病気にかかったものの、お亡くなりにはならない”、こんな状況において今後の生活をどうするかということです。
社会保障制度では、公的医療保険や障害年金などがあります。そこに対する自助努力はどうでしょうか。
重い病気にかかった後の生活費を確保するための自助努力、つまり「生活水準を維持するための備え」は十分でしょうか?
重い病気の影響ということで、特定疾病にかかると入院が長期になるということがあります。
重い病気つまり特定疾病とは、がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中のことを指しています。
重い病気の影響として、入院した場合の平均在院日数をみると、例えば、胃がんや急性心筋梗塞ですと、およそ20日程度です。
この日数は長いと思いますか、短いと思いますか?あまり長い期間ではないですよね。
くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞を総称して脳卒中といいます。この脳卒中の平均在院日数は、なんと100日前後となります。
すべての病気の平均在院日数の31.9日と比べると、約3~4倍もの期間になってしまいます。
長い期間ですよね。
「がん」は、なんと、24.6%の方が再度入院されています。これはがんで入院された方のおよそ4人に1人ということになります。
がんは1回の入院日数は長くないものの、罹患後、何回も入院する可能性が高く、総入院日数は長期間に及ぶ可能性もあるんです。
そして、約4割の方が「がん、脳卒中、急性心筋梗塞」でお亡くなりになっています。がんだけでみると、約3割。かなり多いですよね。
こうした重い病気にかかった場合、これまでどおりの働き方を続けられるでしょうか?
実は、、約98%以上の方がこれまでどおりの働き方を続けられなかったのです。
「通院治療を行なわず勤務」されている方、つまり健康な時と同じように働けている方は1.6%と本当にわずかです。
「退職および休職中」の方は21.0%で5人に1人の方がまったく働けていません。
残りの7割強を占める大多数の方は、「通院治療を行ないながらの勤務」となっています。
ですから、働き方は変わってしまっているでしょうし、収入も健康な時に得ていたもの。これまでどおりというわけにはいかないのではないでしょうか。
働けなくなって収入が減った場合の社会保障制度はあるでしょうか?
健康保険や各種共済組合には、「傷病手当金」という制度があります。
【会社員の場合】
会社の就業規則にもよりますが、まずは休職制度があります。休職中の給与は出ますが、固定給のみです。
残業代などは出ないので給与は減ってしまいます。
この期間を過ぎた場合、もしくはこの期間がなかった場合、傷病手当金という制度により、標準報酬日額の2/3を1日あたりの金額としてもらえるのです。
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2/3と聞くと何とか生活はできるかと思うかもしれません。
しかし、傷病手当金をもらえる期間がいつまでかと言いますと、最長で1年6か月しかもらえません。
さらに、この1日あたりの金額の算出には、年3回以下の賞与分を含まないのです。賞与をまったく考えず、月の給与だけでやりくりできるでしょうか。
例えば月給30万円、賞与50万円が年に2回ある方の場合の年収は460万円になります。
傷病手当金でいくらもらえるかといいますと、20万円×12か月で240万円、およそ半分も減ってしまうんですね。
こちらはざっくりとした例ですけど、金額のイメージはできたのではないでしょうか。
【自営業者の場合】
自営業で国民健康保険に加入されている場合は、傷病手当金は「任意給付」で、対象としていない自治体が大多数です。
つまり、重い病気にかかるとどうなってしまうのかというと、「入院や療養による休職」や「配置転換」「時短勤務」などで働き方が変わることもあります。
さらには退職を余儀なくされることもあります。
重い病気にかかった場合、すぐには収入がなくならなかったとしても、治療が長引いたり、働き方が変われば、収入が減ることも考えられますし、さらには、それは生活水準の変化に繋がることになります。
生活水準の変化
まずは、家計への影響があります。
重い病気にかかった場合、今までかかっていた生活費、教育費、住宅ローンなどの支出は変わらず、そこに病気のための治療費が新たに上乗せされてしまいます。
一方、収入はどうでしょうか。今の健康なときの収入が安定していればよいのですが、収入が減ることが考えられますよね。
つまり、家計のバランスが崩れ、支出に大きく傾いてしまうのです。
さらに、貯蓄への影響もあるんです。
貯蓄されるときには、何か目的を持ってされていることが多いと思います。
例えば、お子さまの教育費や、子供がご結婚されたときの結婚資金として。また、ご自身が老後を迎えられた場合のゆとりある生活を送るための貯蓄かもしれません。
その他にも、奥さまの大好きな趣味やご自身の大事な車やバイクなど、やりたいことの・欲しい物のために貯蓄されている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、家計が支出に傾いてしまうと、貯蓄を続けること自体が難しくなってしまうのです。
また、十分な貯蓄がある場合には、貯蓄を取り崩していくかと思います。その場合、貯蓄していた目的はかなえることができなくなり、将来の計画の見直しをしなければいけなくいなるかもしれません。
また、十分な貯蓄がない場合はどうでしょうか。最悪の場合、生活を切り詰めることを余儀なくされます。
病気や治療の不安もある中で、こうした「生活水準の変化」による経済的な不安は計り知れません。
「保険に入っているから大丈夫」、はたして本当にそうでしょうか?
病気や死亡に対する保険に加入されているだけでは、「重い病気による生活水準の変化」に備えることはできません。
「医療のリスク」に対応する保険は、治療費を給付金で備えられる「医療保険」などで、「教育費・老後の生活費」の緑の部分には、必要な費用を保険金等で備えられる「学資保険」や「積立型の保険」などで、黄色の「万一のリスク」は「死亡保険」などでご準備されている方が多いのではないでしょうか。
「重い病気による生活水準の変化に備える」という部分は、これらの保険だけでは備えることができないのです。
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