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タバコの健康への悪影響が広く知られるようになりました。
さらに喫煙者だけでなく周囲の人に及ぼす受動喫煙の被害が叫ばれるようになって、日本は愛煙家にとってどんどん肩身の狭い社会になってきています。
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全面禁煙の公共機関やオフィス、レストランなどが増え、「初めて訪れる場所では喫煙できる場所を探すのが大変」という声をよく耳にします。
では日本の喫煙者の割合が減っているかというと、厚生労働省が発表した平成27年の調査結果では、男性は30.1%、女性は7.9%と、ここ5年ではほぼ横ばいとなっています。
また、2015年のWHO(世界保健機関)の資料によると、国別の喫煙人口で日本は約2,500万人に上り、世界第7位。
全体の約8割を中・低所得国が占める中、先進国として喫煙防止対策を進めているにもかかわらず上位にランクインしています。
まだまだ「禁煙後進国」ともいえる日本。
しかし、実は喫煙者の約6割がタバコを「やめたい」「本数を減らしたい」と思っているという厚労省の報告もあります。
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潜在的にこれほど多くの喫煙者がタバコと縁を切りたがっているということは、将来の喫煙率の減少に大きな希望が持てるのではないでしょうか。
「やめたくても意志が弱くてやめられない」「禁煙しても失敗した」という人は、自分に合った方法やタイミングが必ずありますから、あきらめずにぜひ禁煙を実現させましょう。
厚生労働省の調査によると、補助薬を利用した人は禁煙成功率が2~3倍に、専門家によるサポートを受けたひとは禁煙成功率がさらに3倍アップするというデータが発表されています。
「タバコがなかなかやめられない」「禁煙に何度も失敗した」という人はいませんか?
冒頭の発表からもわかるように、禁煙はやり方によっては成功率が変わってきます。
「禁煙ができない」という方は、もしかすると効率的な禁煙方法を知らないのかもしれません。
自分と周囲の人のために禁煙にチャレンジを
禁煙を希望している人のためには、さまざまな禁煙方法が開発されています。
一度で禁煙できなくても、自分に合った禁煙方法が見つかるまで、何度でもチャレンジしてみましょう。
タバコの煙には5,300種類以上の有害物質が含まれ、そのうち約70種類に発がん性があるといわれています。
タバコによる健康被害は喫煙者本人だけでなく、受動喫煙として家族や友人、職場の同僚など周囲の人にも及ぼします。
甚大なタバコによる健康被害
タバコの煙には5,300種類以上の有害物質が含まれ、そのうち約70種類に発がん性があるといわれています。
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タバコによる健康被害は喫煙者本人だけでなく、受動喫煙として家族や友人、職場の同僚など周囲の人にも及ぼします。
タバコに含まれるニコチンには強力な依存性があり、禁煙するとイライラするなどの禁断症状が起こる場合があります。
市販の禁煙補助薬を使う
これらの症状を緩和させるニコチンパッチ(皮膚からニコチンを吸収させる貼り薬)、ニコチンガム(ニコチン含有のガム)等の禁煙補助薬は薬局でも扱っており、処方箋なしでも購入できます。
こうした補助薬を活用すると、自力での禁煙に比べ成功率が3~4倍高まるとされています。
また、最近は「電子タバコ」や「加熱たばこ」と呼ばれる、蒸気を吸い込むタイプのタバコが市販され、受動喫煙の軽減効果だけでなく、紙巻きタバコの禁煙に向けたステップとして注目されています。
しかし、依存性の高い有害物質が少ないといわれる一方、紙巻きタバコにはない有害物質が含まれているとの報告もあり、水蒸気の成分を調べるなど使用には注意が必要です。
自力で我慢する
喫煙への依存度の低い人は、吸いたくなったらガムをかんだり、吸いたくなる場所(飲食店等)へ行かないようにするなど、できることからチャレンジしましょう。
最近は、各地の自治体や企業、健保組合などで禁煙を支援する動きが活発化しています。
禁煙プログラムやイベントに参加することは目標設定を明確にし、禁煙仲間を意識したり第三者に評価されることでモチベーションが上がり、成功率が高くなります。
医療機関で禁煙治療を受ける
医師のアドバイスを受けて禁煙治療を行うため、 成功率も高くなります。
一定の条件を満たせば、 健康保険で禁煙治療が受けられ、近年は適用も 拡大しています。
お住まいの地域によっては自治体等が禁煙支援を行っている場合がありますので、そちらを活用するのもよいでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇
3年後に迫った2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本では受動喫煙防止対策が大きな課題となっています。
2010年からIOC(国際オリンピック委員会)とWHOは共同で「たばこのない五輪」を推進し、2012年ロンドン五輪のイギリス、2016年のリオ五輪のブラジルも、受動喫煙の防止対策としてレストランやバーなどを含めた屋内は全面禁煙と法律で定め、違反すると罰則もありました。
これに対し日本では、レストランなどの多数の人が利用する施設でも、健康増進法の下の受動喫煙防止対策は努力義務にとどまり、法規制が進んでいないのが現状です。
昨年10月に厚労省は「多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである」との基本的な方向性を公表し、以来、受動喫煙防止対策を強化する法改正案をめぐり活発な審議が続けられています。
タバコをやめるなら、規制が厳しくなる今が大きなチャンスかもしれません。
喫煙者がますます煙たがられる前に、遅くともオリンピックまでには禁煙を成功させてはいかがでしょう。
<参考資料>
禁煙支援マニュアル(第二版) (厚生労働省)
『「受動喫煙」を防いで健康を守ろう』(制作/社会保険研究所)
平成26、27年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省) ほか
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