
生命保険販売の心理学 人の心を動かし購買行動を喚起する
はじめに
生命保険営業では、常にお客さまを相手にします。1対1の関係でお話を進めていくわけです。相手がご夫婦であったり、会社の社長や役員であったりすることはありますが、結局は契約の決定権者と募集人の関係では、1対1の真剣勝負となるわけです。
そんなときに、相手の心の中が読めれば、こちらにとって有利にことが運ぶことは当然のことです。相手が何を考えているか分からないとき、私達もどんな話をして良いのか、どんな方向に話題をすすめていけばいいのかわからなくなるものです。
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商品を購入する場面では、消費者は「購買者心理」という流れの中で、最終的に商品購入を決断します。心理学は人がなぜ行動するのかを学ぶ学問です。心理学を学んで、人の行動するときの真理を知ることは、当然生命保険営業の世界でも有効に応用することができるのです。
人の心が動くときには理由があります。重大な事件に出くわして驚いたとき、身内に幸せな出来事があったとき、会社で同僚からとても親切にされたとき、映画を見ていて感動したときなども含めて、人の心が動くときには、何らかの心理的要素が絡んでいるはずですし、それは日常活動の中で頻繁にあると思います。
人の心が動く理由を解明したものが心理学です。ビジネスでは必須の学問となります。生命保険営業の世界でも、心理学は過去の優秀な先輩達の努力によって、すべての活動プロセスの中に、そして定番となっている話法の中にも取り入れられています。
生命保険営業では、お客さまに生命保険という商品を購入してもらわなくてはなりません。心理学を知っていればお客さまを商品購買へと効果的に導くことができるのです。
人は、いろいろな商品を購買するに当って、自分の意志で決めたいという強い意思を持っています。他人から「買うべきです」「買ってください」などと言われても、誰もお金を払ってくれません。しかし、人の購買心理や潜在している深層心理に基づいて導いてあげることができれば、お客さまは商品を購入するために、気持ちよくお金を払ってくれるのです。
しかし、生命保険営業の募集人の大半が、一部習っている人もいるはずなのに、ほとんどの人は心理学に基づいて営業活動を行わないため、たくさんの成果を挙げれない人が多いのが現実です。
ただし、今から本を読んで学生のように勉強をする必要はありません。人が人に物を売るということは、お互いの心理が揺れ動く中でコミュニケーションを深める行為です。学問的に勉強するというよりも、相手をよく観察すること、ヒアリング能力を高めることなどが重要です。
ここに書いていく心理学に基づくお話は、専門書に書いてあることとは違います。結局のところ、実践でどう使いこなせるかが重要なのです。そのため、実際に経験して非常に有効であった心理学の応用場面を中心にお伝えしていきます。学問というより、生命保険販売のための心理学として読みすすめていってください。
生命保険販売の歴史は100年を有に越えています。長い長い先輩達の実践の経験則に基づいた心理学が販売テクニックには網羅されているのです。しかしそれと知らずに「買ってください」と言ってしまっては、お客さまからそっぽを向かれてしまいます。
昔から、「生命保険!間に合っているわよ」「保険セールスお断り!」などと強い口調で追い返されるのは、営業活動の中で、まったく心理学を応用していないからです。お客さまのためになることをしているのに、お客さまのためになる商品を販売しているのに、そんな断り方をされることはないのです。
Ⅰ.心理学を武器にする
1.生命保険営業で心理学を学ぶことが効果的な理由
人はテクニックで商品は購入しません。自分の心が動いて始めて購入にいたるのです。それは社会生活の中で、意識さえしていれば学べることです。誰でも知らず知らずのうちに、恋愛や親子関係や教育の場面で実感しているはずなのです。
街の書店に行けば、「恋愛心理学」や「ビジネス心理学」など、いろいろなタイトルをつけて並んでいると思います。人間関係のテクニックを扱う本は全ては心理学に基づいています。 生命保険の販売では、何度も言いますが1対1の人間関係の中で商品を購入していただくわけですから、人と人が関わる部分を何とか改善させたい場合、とにかく心理学を勉強すべきです。
メンタリストと呼ばれている方がいますが、彼はこの心理学を利用して人の行動を誘導しています。人を動かす、つまり人の心を動かす場合、心理学の知識が必要になります。私達の生命保険販売においても、アポイントメントをとることや商品購入をさせる時、心理学に基づいて誘導すれば売上が上がるということになります。
心理学が全てではありませんが、一般的には多くの人に当てはまります。販売の現場だけでなく、もしあなたがサラリーマンだとしたら社内での人間関係つくりでも使えるものです。心理学を知っているのと知らないのでは、私達の仕事に限らず、人生においても大きな結果として現れてきます。
人は自分ひとりでは生きてはいけないものです。あなたを助けてくれる人、協力してくれる人が、いつでも必要なのです。あなたの存在を認めてくれる人、疲れた心を癒してくれる人などもそばにいないと大変なことになってしまうのです。
人は人に付きます。人の気持ちに付くのです。この人の心を動かすためには、自分はどうしたら良いのでしょうか。例えば自分に協力してもらいたいとき、どのようにして相手に頼めば自分のために動いてくれるのでしょうか。人を集めたいとき、あなたのためにといって人が集まってくれるためには、日ごろからどのような態度で多くの人に接していればいいのでしょうか。
社会の仕組みは、コンピューターのシステムではなく、人の心のつながりの中で出来上がっています。ですからあらゆる企業活動でも心理学が応用されています。人気商品は広告の力を使って作り上げられたものです。商店街で目にする「閉店セール」も心理学を応用したテクニックです。これらは全て意味があるのです。
心理学においての情報弱者になっては営業活動はできません。このことを肝に銘じて勉強していきましょう。要は知っているか知らないかの違いが大きいのです。さらに心理学を知って応用できる能力も高めていきましょう。
2.人は「みんながそうしている」ことに納得する
人は自分の頭で物事を判断しません。一般的にはこうですとか、皆さんがこうおっしゃっていますとか言われれば、そうかもしれないなと思うものです。他人の行動を判断基準にしたり、世間一般の判断を基準として行動を決定するのです。生命保険の話をする際に、最初は一般論から入るというのは基本的な営業セオリーです。「30代のご夫婦の皆さんが、年金制度の将来が心配だとおっしゃいます。そのため老後生活資金を早めに貯めていくという努力をされています。」というふう話題を導くと、自分も世間の判断に従ったほうが賢明かもしれないと思うのです。
例えば、行列のできるラーメン屋さんは、「きっと美味いに違いない」と食べる前から決め付けて、行列に並ぶという行動を起こしてしまうことがあります。いろいろな種類の職業で、行列のできる○○という言い方で宣伝をしたり、サクラを使ってまで店に並ばせて行列を演出することがあるくらい「みんながそうしている」ことには、自分も参加しないと損だと思ってしまうものなのです。このように、他の人につられて行動してしまう人間の特性を社会的証明と言います。
火事や事故の現場を見に駆けつけてしまうとかいう行動は、つまり野次馬根性なのですが、ささいなことでも多くの人が集まっている場所には、あとからきた人も何かあるのかなと覗いてみたりするものです。これは人間の深層心理に基づいた行動なのです。多くの人は他の人の行動に従います。多くの人が集まっていれば「何かある」と思って駆け寄ってしまうのです。心理学の実験例でも、数人のメンバーが一斉に空を見上げれば、そばを通りかかった一般の通行人も思わず空を見上げてしまうということが実証されています。
「行列のできるラーメン屋」の原理を生命保険販売に利用すると、「やっぱりがんが心配ですよね。がん保険は今や働き盛りの皆さんがご加入されています。」「二人にひとりががんになる時代ですから、もうお若い方も含めてがん保険に入っていない方はいなくなりました。」などお話しをすると、がん保険に加入していない自分が、何か間違いを犯しているような、世間の行動から置いてきぼりを食っているような不安な気持ちになったりするのです。
商品が売れる理由は、いろいろありますが、消費者全体の流れ、風潮といったものに大きく左右されます。お客さまが感じる全体の流れ、気配のようなもの、それを流行といったりします。景気という言葉の、「気」は、気分とか気配のことです。経済状況も、実は多くの人たちが、同じように感じる気分や気配で動いているのです。
生命保険のような消費者が必要性を十分に理解している商品では、多くの人がこの社会的証明に従います。例えば、「今は長生きのリスクをカバーすることを考えなければいけない時代ですね。そのためには老後生活が始まるまでに現金を用意すること以外にありません。最近ではほとんどの方が生命保険商品を使って長期の貯蓄を始められています。」というようにお話をします。社会的証明では「他の多くの人が行っているのなら、自分が行っている事も正しいはず」と無意識のうちに判断します。
3.生命保険販売で社会的証明の原理を利用してみる
この社会的証明のもっとも使いやすい例が、「お客さまの声」です。人は商品を販売している会社側の人間の言葉は、簡単に信用しないのですが、その商品を使ったことのある「お客さまの声」をほぼ100%近く信用します。温泉旅館を探すときの情報で一番読まれるのがこの「お客さまの声」です。究極の社会的証明の原理となっているわけです。いくらここの温泉が素晴らしいとアピールしたところで、それは所詮その旅館側の広告文に過ぎないのです。そこで消費者は、実際にその旅館を利用し温泉につかった人たちの意見を参考にするわけです。お客さまの声で商品は売れるのです。
生命保険販売の募集人にとっては、このお客さまの声は紹介の場面で生かすことになります。いかに素晴らしい、いかに豊富な知識を持った、お客さま本意の営業マンであるかは、いくら自分で声高らかに宣言しても信用されません。契約をいただいたお客さまから、「生命保険の加入を考えるならこの人しかいない」というような紹介をされたら、間違いなく相手はあなたを信用するのです。ですからどれだけこの「お客さまの声」を活用できるかが、見込み客を絶やさないための鍵となります。
実は、お客さまの声の活用が下手な営業マンが多すぎるのです。活用すれば大変大きな効果を上げることができるのに、とてももったいないと思います。私は、お客さまにアポイントメントをとる段階から、お客さまの声を意識すべきだと常々伝えています。アポの電話の第一声の「すがすがしさ」や「誠実な物言い」は、強く印象に残るものです。仮にこの方が契約成立後などに親しい友人や親戚を紹介していただいたとします。「今度紹介する○○さんは、本当に信用できる営業マンなんだ。」と連絡してくれる際に、自分に連絡してくれたときのように、あんなに「すがすがしく、誠実に」アポをとってくれるんだろうな、と思ってくれるのです。
私達の扱う「お客さまの声」は、ホームページや、チラシに載ったものではありません。リアルな生の声です。だからこそその声はまったく真実であり信用に足りるのです。生命保険という商品は、その商品自体を疑う人はいません。消費者は何を選びたいのかといえば、商品を扱う営業マンです。営業マン次第で、その後のサポートが違ってくることを知っています。生命保険は加入したときに何かがおきるものではありません。生命保険はお金を支払っても保険事故が起きなければ何も見返りはないのです。饅頭を買えば、その場で食べられます。生命保険は違います。だからこそ、営業マン自身の資質が高いことを、お客さま思いであることを、お客さまの口から、つまり「お客さまの声」として証明してもらわなければならないのです。
このことを意識して動いている営業マンは、見込み客の補充に苦労することがありません。お客さまがその営業マンの応援サポーターとなってくれるからです。このように考えれば、「社会的証明の原理とお客さまの声」の関連性と重要性は理解できるはずです。
4.本気で伝えたいことは、11回話してみる
人は、あなたの話を鵜呑みにはしてくれません。最初は疑ってかかります。同じ話を何度か聞いているうちにそんなものかもしれないと思ってきます。あなたと相手との関係でその回数は違ってきます。1回話しただけで理解してくれるとしたら、よっぽど愛情が深く常にコミュニケーションを取り合っている関係です。3回で伝わったとしたら、これも関係は深いのです。私は、5回から7回同じことを話して、そうかもしれないと思ってくれる人は普通だと考えています。本気で伝えたいことがあれば、11回同じことを真剣に伝えるべきです。そのくらいでないと本気度は伝わりません。
人の発する言葉によって、自分の行動が変わってしまうことがあります。自分が尊敬する人の言葉であったらすぐにでも行動が変わるかもしれません。一般的には、職場内とかであっても、繰り返し言われ続けると本当にその通りに行動してしまうことがあります。これをラベリング・テクニックと呼びます。言葉で人の行動が変わるのですから、このラベリング・テクニックは使い方によっては、良い方向にも悪い方向にも誘導してしまうことがあります。
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悪い使い方の例では、健康な人に、朝から会う人が順番に午前中いっぱい、「あれ、顔色が悪いね、病気なの」と声をかけ続けます。そうするとまったく健康だった人が、熱を出し寝込んでしまうということがあるのだそうです。言葉によって「意識付け」と言うラベルを貼ることで人の意識を変える手法であるため、ラベリング・テクニックと呼ばれています。
良い方向に使うと、職場内であなたが他人から「周りに気配りができる人だね」と言われ、それがひとりだけでなく機会あるごとに、何人もの人から同じようなことを言われたら、「ああ、俺は、気配り人間なんだ」と認識して、そのような行動をとり始めます。このように、他人から言われ続けられると本当にそうなってしまうのです。
生命保険の販売における営業現場では、これをどう生かして使うことができるでしょう。当然良い方向に導かなくてはならないわけですが、例えば、「家族想いのあなた」というイメージをラベリングしてみたらどうでしょう。「奥様の夢を実現してあげたいとか、お子様の将来のことをそんなに考えていらっしゃるなんて素晴らしいですね。」 「本当にご家族思いのご主人ですね。」これを何度か繰り返します。「お嬢様のお誕生には何かプレゼントしましたか。」「ええ、そんなことまでなさるんですか、いやあ本当にご家族思いなんですね。」
これによって、「自分は家族想いの主人だ」と思ってしまい、それを否定できない心理状態になるのです。そして、「ご家族思いのご主人だからこそ、こういった形で保険の準備をされないといけませんね。」という言葉に逆らえなくなってしまいます。
社会的証明とラベリング・テクニックは組み合わせて使うと効果的です。「ご家族思いで将来展望がしっかりしている人はみんな生命保険によるリスクマネージメントをしている。その人たちのほとんどが、プロのファイナンシャルプランナーに相談している。あなたも同様に人生に対するリスクマネージメント意識の高い人だ」と伝えることは、相手のプライドをくすぐり、成果につながりやすくなります。
5.お客さまに家族を助けるのはあなたの個人的責任だと理解させる
購買者心理によれば、日用雑貨のように必要があって購入するものは、比較販売商品といいます。例えばトイレットペーパーですが、それがなくなったとしたら買うことを給料日まで待つことはないでしょう。購入に際しても、せいぜい金額か紙質を比べるだけです。
また別に、欲望がわかないと購入しない商品があります。大体は高額なものです。家とか高級車、宝石といったものです。生命保険はこちらに分類されます。一生涯を通じて支払われる保険料総額は非常に高額になります。こういったものを、ニーズ販売商品といいます。
ニーズ販売商品では、お客さまにとってこれを購入する理由があると、ニード喚起する必要があります。特に生命保険においては、欲求を導き出すためには、普通は表面出でてこない漠然とした不安や不満不足といったものを顕在化してあげなければなりません。
このとき役に立つのが、集団的無知による社会的証明の原理を知ることです。
自分の身辺で事故が起きたとします。それが何だか良く分からない不確実な状況であると、多くの人は何もなかったかのように行動してしまいます。マンションの隣の部屋でただならぬ叫び声がしたとき、何で警察に連絡しなかったのかと問われたら、何が起きているかよく分からなかったからと答えるはずです。
最近のニュースを見ていますと、その叫び声は不法侵入者による殺人事件だったということもあるかもしれません。しかし自分はそんな騒ぎになるとはこれっぽちも思ってもいなかったのです。単なる恋人同士の痴話喧嘩だったとすれば、警察を呼ぶことで後で嫌な顔をされないともかぎりません。
この時に重要となるのは、「不確実性」があることです。人は周りの人に合わせようとする社会的証明の原理が働いているため、周囲の人に合わせて自分を落ち着かせようとします。隣の家が騒いでいるからと言って、急に取り乱して何も考えずに警察を呼ぶ人はいないのです。道端で人が倒れていたとしても、酔っぱらって寝ているだけなのかもしれません。このような分からない不確実な状態であれば、人は何もなかったかのように振る舞います。
生命保険は欲望がわいて購入するとお話しましたが、ニード喚起の部分では、この「不確実性」を確実にあなたのことを言っていると理解してもらわなければなりません。つまり生命保険の加入は、確実にあなた自身の問題として個人的責任において考えなければならないのだというわけです。
将来予測される問題について、「誰か助けてください」では、誰も助けてくれませんよ。あなたが準備して問題解決に当らないと、誰もあなたとあなたの家族を救う人はいないということを分からせるのです。
助けてくれる「誰か」が、自分の事だと理解していないから、他人事のように考えてしまうのが、生命保険という商品かもしれません。 生命保険のことを真剣に考えないということは、自分の人生を、他人任せにしているということなのです。
それではどうするかと言うと、お客さま個人を指定してお話します。「誰か」ではなくて、「まさにあなたに助けて欲しい家族」「家族の夢の実現はあなたしかカバーできない」とメッセージを発しなければいけません。そうすると、ようやくお客さまは「自分に責任がある」と思って行動を起こすことになります。
心理学的には、もしあなたが心臓発作で緊急事態に陥ったとき、周囲に人がいる状況で助かる方法は、「誰か助けてください」ではなく、「そこを歩いている青いスーツ姿のメガネの男性の方、助けてください」と個人に限定するように説明しています。そうするとようやくその個人に責任がかかっているということを理解することになります。しかし、自分と自分の家庭のことで責任があるのは自分自身です。そのため他人は絶対に助けてはくれません。現実的には、青いスーツ姿のメガネの男性の方は、自分が準備した「生命保険商品」ということなのです。
6.フット・イン・ザ・ドア・テクニックは生命保険販売においても有効か
もともと生命保険商品は高額商品です。
一般的な商品の場合、最初から値段が高いと、なかなか最初の一歩を踏み出すことができないお客さまがいます。そこで、最小に提示する商品は値段の低いものを提示して、最初の障壁をできるだけ下げてしまう方法を用いることがあります。これをフット・イン・ザ・ドア・テクニックといいます。
以前生命保険は、護送軍団方式というシステムの中で運営されていましたので、生命表は同じものを使い、保険料も同様商品であればまったく一緒で差がつかないというものでした。生命保険はどこに入っても同じだから、個人の募集人単位のサービスの差で勝負が決まるといわれたものです。
現在では、商品開発も多岐にわたり、第三分野商品なども種類が豊富になりました。そのため、保険料比較での選択も可能です。まずは保険料の安い、医療保険やがん保険などを提示して、最初の障壁をできるだけ下げてアプローチし、それに興味を示したお客さまに第一分野の死亡保障商品などをセットで加入していただくという流れで、最終的には、トータルで高額な保険料を世帯単位で契約に結び付ける方法をとったりしています。
生命保険では、特にプレミアムが付くような商品は存在しません。例えば高級家具で年代物などで高額な値段が付くというようなことはないわけで、サービス内容(保障)と値段(保険料)を総合して、商品同士はすぐに比較できるのです。
そこで私達の役割は、お客さまにとっての商品価値がどこにあるのかを、しっかりヒアリングしなければならないのです。何のために生命保険に加入するのかを伝えなければ、その商品の値段(保険料)が、高いのか安いのかまったく分からなくなります。
自分と自分の家族の将来の夢の実現のために、それを阻むリスクカバーとして生命保険が必要なのです。「これとこれを比較したら、こっちが安いからこれで良いや」という類の商品ではないのです。つまり個人個人違う価値観を有している自分の人生というものに対して、リスクカバーするわけですから、一人ひとり違う選択肢が存在するということになります。
そこのところを分かってもらいたくてしっかり話を聞いてもらわなくてはならないのですが、当初は商品同士の値段を比較して、最初の値段を低く設定して最初の一歩を踏み出させるために、障壁をできるだけ下げてしまうフット・イン・ザ・ドア・テクニックを使うこともあるのです。
人は、他の人に行動につられてしまうことがあります。「この商品は何でこんな安いんだろう」と思ってホームページを訪れたり、店頭に訪問してきたりします。行列のできるラーメン屋を演出するために、見せる商品で社会的証明の原理を使うということです。人間は他の人の行動に合わせようとする習性があるため、多くの興味を示してクチコミに上がっていたりすると、自分もそれに参加したくなるのです。
しかし、生命保険です。本当のところ安かろう悪かろう(保険料が安ければ保障も低い)という商品では不安の解消には物足りないということは理解しています。最終的には、相手にとって十分な価値のある、しっかりした内容の生命保険に加入してもらわなければなりません。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
しかしこれはまだ一部を紹介したにすぎません。まだまだ役に立つ話がたくさんあります。
すべてを勉強されて、購買者心理を読み解く力を身につけてください。
以下は、こちらからまとめてお読みいただけます。
「生命保険販売の心理学」~人の心を動かし購買行動を喚起する法則