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平成28年5月29日施行の保険業法改正によって、生命保険商品の販売において、比較説明と推奨理由を明確にすることが求められることになりました。

お客さまからは面談及び契約の時点で、どのような保障を望んでいるのかの意向把握をしなければならなくなりました。

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もともと生命保険商品の保障の差は、素人目には判別できない程度のものが多く、例えば医療保険で保障比較をしようとしても、ある病気の症例ごとに給付金が出る出ないというような説明になり、後々覚えていられるようなものではないのです。

一般的な商品だと、比較対象があると、物が安く見えたり高く見えたりします。

当初付けてある値段から、セールなどで下げていった方がお買い得感が出てくるというわけです。機能まで1万円の値札がついていた商品が、セール期間に突入したとたん、50%オフとなって5000円で購入できると、人は幸せを感じたりします。

もともと5000円の服に1万円の値札をつけて見せておいたとしても、ほとんどの人は比較対象での見せ方によって価値観が変わってしまうのです。

きちんとした理由を付けて値段を下げることによって、商品が安く見えてきます。これはお得だということなのですが、ここで行ったことは、最初に高い値段を見せたあとに理由をつけて下げただけのことです。

このように高いものと安いものを対比させることで見方が変わってくることをコントラストの原理と呼びます。

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生命保険で、コントラストの原理を利用して商品を売ることができるでしょうか。

「保険料を下げたいので、今加入している保険の見直しを相談したい」というお客さまは多いものです。このようなお客さまには、保険だけでなく家計全体を見直すことで、将来のご家族全体の夢や希望をかなえるためのリスクカバーを検討することをおススメします。

この一言を加えるだけで、検討すべき金額の枠は、保険だけだと月に1万円から3万円程度ですが、家計の消費額からだと月25万円から30万円と跳ね上がります。

生命保険の必要性には、保障と資産形成の両面を備えているものですから、保険料だけ下げたいというお客さまは、生命保険の活用法の何たるかを知らないといってもいいくらい、偏った情報しか持ち合わせていないのです。

家計診断と称して、毎月の消費支出30万円の中から、保険、貯蓄、教育などの部分だけをベストの家計バランスの割合から取り出したとしても、6万円から8万円くらいにはなってしまいます。当初の相談である、保険料を月に1万円から3万円程度の範囲から、6万円から8万円の範囲内で、生命保険、貯蓄(中期・長期)、教育資金積み立てなどを考えてやることになります。検討すべき元高を変えてやるだけのことですが、これもコントラストの原理を利用しているのです。

自動車の販売では、車本体に追加してオプション製品をどんどん付加していくようにススメます。

本体価格が高いため、ひとつひとつは数万円する本来は高い価格のものでも、なぜかオプション製品が安く感じて、ついつい購入してしまうのです。

車体のコーティング10万円、カーナビ20万円、アルミホイール15万円などと追加していくうちに、当初予算を大幅にオーバーしているなんてこともよくある話です。

これなども、本体価格と比較して安いオプション製品ということで、コントラストの原理を利用して商品を売っているというわけです。

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生命保険でも、単価の安い医療保険やがん保険からお話をしていくのでは、トータルの保険料を上げることにつながりません。

必要保障額から死亡保障を提案し、長生きのリスクをカバーするために貯蓄性の高い商品で資産形成を提案し、納得いただいたあとに、生活保障や医療保障を乗せていけば、トータルの保険料は一気に上がります。

さらに追加して、「ご主人が完璧な保障を手に入れたのに、奥様には何もないというわけにはいかないですよね 」という具合で、コントラストの原理を利用して商品を売ることになります。

保険はどこも似たような商品で、比較しようにも大差ないから、コントラストの原理など使えるところはないと思ってしまいますが、そんなことはありません。

値段だけ比較するということでもないのです。ビジネスのどのような場面でも使えますので、いろいろ考えてみてください。

生命保険を活用した貯金の話などは、「30年後にいくら貯めたいですか」と聞けば、3000万円ほしいと言いますが、「毎月8万円の保険料を出していただければ3000万円貯まります」という言い方だと、必ずそんなに払えないと言うのです。

よく考えてみれば、保険料の安いものは、保障範囲が狭いですよね。

保険料が高くなれば、同じがんで入院手術をしても、もらえる給付金額は違います。

当たり前のことですが、最初に安くて悪いものを見せてから比較するとか、最初に高くて良いものを見せてから比較するというように方法はいくらでもあります。

コントラストの原理は何も値段に関することだけではありません。あらゆる場面でコントラストの原理が利用されています。

重要なのは落差です。落差が大きく理由がはっきりしていると、コントラストの原理が効いてくるのです。10%オフより90%オフの方が目を惹きます。

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